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興味深い本→「会社の上司が私のことをこっそりと喫茶店に呼びつけて、『なんとか検察批判を控え目にしてくれ』と言ったこともあります/前田恒彦 -元特捜部主任検事のつぶやき

検察が一連の不祥事で信頼を失墜した後、その構図はどう変わったのか、試金石となるのが美濃加茂市長事件/郷原信郎弁護士

過去の著名冤罪事件と、2014年の岐阜県美濃加茂市長事件を取り上げ、元検事と元裁判官が「権力の犯罪」に斬り込む。/郷原信郎弁護士

商品の説明
内容紹介
初めて暴かれた「法権力」中枢の不正義!

過去の著名冤罪事件と、2014年の岐阜県美濃加茂市長事件を取り上げ、元検事と元裁判官が「権力の犯罪」に斬り込む。

私は、日本の裁判所の基本姿勢は、社会一般から批判を受けるような事態になるまでは冤罪にはぎりぎりまで目をつぶる、そして、裁判所までが批判の矢面に立たされそうになったら、捜査機関のせいにして冤罪を認めるというものだと考えています。だから、裁判所が「捜査機関の証拠のねつ造」を理由に冤罪を認めても、その真意は別のところにあることを知っておく必要があるでしょう。――森炎「第二章 対談2 冤罪を再生産する法権力のメカニズム」より

検察の意思決定システムで一度行った判断が誤りであった場合、その誤りを認めて「引き返すこと」が社会全体に生じる損失を防ぐことになる。しかし、検察組織では、その時点の幹部の責任回避のために個人や社会に重大な不利益を生じさせるような判断が行われることを防ぐシステムが機能しない。検察のガバナンスの重大な欠陥です。――郷原信郎「第四章 対談4 美濃加茂市長事件考える裁判所と検察」より

第一章 対談1 「巨人」=検察と「寄生虫」=裁判所の異様な関係
検察にもたれこむ裁判所
「見事な有罪判決」が裁判官のプライド
検察官一流、裁判官二流
ほか

第二章 対談2 冤罪を再生産する法権力のメカニズム
冤罪支援運動はすべて間違いだと思っていた
捜査の破綻をわかったうえで死刑判決を下す
裁判長がみな意図的に死刑にしているという戦慄
無罪証拠を消せ――能力と腕の見せどころ
東電OL殺害事件と陸山会事件の奇妙な因縁
ほか

第三章 対談3 相次ぐ不祥事で崩壊した「検察の正義」
検察vs.小沢一郎の5年戦争
ストーリーを変えず、証拠を合わせる
見込み違いの方針変更は検察の「大失態」
検察の「真実」と食い違う証拠を開示しない
「思い上がり」が起こす「改ざん」
ほか

第四章 対談4 美濃加茂市長事件から考える裁判所と検察
ヤミ司法取引の疑い
退官や異動で検察幹部の責任は問われず
裁判所は「検察の暴走」を止められるか?
ほか
著者について
郷原 信郎
1955年島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て弁護士。組織のコンプライアンス問題の第一人者として知られ、不祥事企業の第三者委員会委員長の経験も豊富。著書に『思考停止社会』(講談社現代新書)、『検察の正義』(ちくま新書)、『検察が危ない』(ベスト新書)、『組織の思考が止まるとき』『企業はなぜ危機対応に失敗するのか』(以上、毎日新聞社)ほかがある。
森 炎
1959年東京都生まれ。東京大学法学部卒。東京地裁、大阪地裁などの裁判官を務め、現在は弁護士として活動。裁判官時代には、官民交流で、最高裁から民間企業に派遣され、1年間、三井住友海上火災保険に出向勤務した。著書に『司法殺人』(講談社)、『死刑と正義』(講談社現代新書)、『司法権力の内幕』(ちくま新書)、『教養としての冤罪論』(岩波書店)ほかがある。

引用:Amazon.co.jp: 虚構の法治国家: 郷原 信郎, 森 炎: 本

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無謀な捜査・起訴・公判の真相にも迫れたように思う。しかし論告を改めて読み「検察の劣化」に唖然。これが検察組織に了解されたとすると問題は深刻/郷原信郎弁護士

今年ネット上で反響大だった 3つの重大事件のてん末 | 元特捜部主任検事のざわめき | デイリー・ダイヤモンド/前田恒彦 -元特捜部主任検事のつぶやき

今年ネット上で反響大だった 3つの重大事件のてん末 | 元特捜部主任検事のざわめき/前田恒彦 -元特捜部主任検事のつぶやき

今年最後の連載となる今回は、この1年間に取り上げた20余りの事件のうち、特にネット上で反響が大きかった3件を振り返り、その後のてん末などについて思うところを示したい。
  3月に静岡地裁が画期的な再審開始決定を下した袴田事件。その後、警察や検察の内情を知る者の一人として、「やっぱりな」と変に納得させられた出来事があった。
  検察の即時抗告で東京高裁に舞台が移されたが、これまで検察が繰り返し「存在しない」と言い続けてきた重要証拠が実際には存在したのだ。死刑判決で犯人の着衣と認定された血染めの衣類5点のネガだ。
  静岡地裁は、事件の約1年2か月後になって現場近くの味噌貯蔵タンクから唐突に発見さ…

引用:今年ネット上で反響大だった 3つの重大事件のてん末 | 元特捜部主任検事のざわめき | デイリー・ダイヤモンド

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困惑と遣り切れなさとで現実感を失ってしまうのではないだろうか。ゾンビ状態でふらふらと自白調書に署名をしてしまっても不思議ではない/『検事失格』 (市川寛 著)

著者の顔写真を見ると、高校時代に応援団員だったとは到底思えない。むしろ幼い顔をしている。そんな人物から狭い取調室で「ぶっ殺すぞ、お前!」と罵声を浴びせられたら、恐ろしいというよりは困惑と遣り切れなさとで現実感を失ってしまうのではないだろうか。ゾンビ状態でふらふらと自白調書に署名をしてしまっても不思議ではない。

 本書は、犯罪者の更生や再犯防止を実践しようとの志から検事になった著者が、地検に勤務しその世界に馴染んでいくにつれ、次第に世間の良識や常識から乖離し、検察だけに通用する価値観や発想を身に着けていく過程が丁寧に描かれていく。そのプロセスは一種の成長物語であり、普遍的な懐かしさすら感じさせる。

 だが同時に、著者は違和感を覚え、反感や自己嫌悪も芽生えていく。にもかかわらず、あえてそれらを押し潰すことによって適応を図っていくのである。おそらく上司に言わせれば、新米検事が段々と「練れて」中堅になってきた、ということである。自白調書を検事が勝手に作文したり、恫喝したり、そんなことはせいぜいプロレスの犯則程度のものでしかない、といったセンスに染まっていく。

引用:『検事失格』 (市川寛 著) | 今週の必読 – 週刊文春WEB

「取り調べで誘導や誤導があった可能性を指摘」したという。ちゃんと取調べ過程を録画しておかなかった警察検察の落ち度だ

光市の事件では、第四の権力たるマスメディアがアホなタレント弁護士による懲戒申立ての扇動を許し、結果として統計的に特異なほど懲戒申立てが刑事弁護人に対して寄せられたのである

弁護士の独立性、自立性、あるいは弁護士自治ということが、平和ボケの中ではその価値を忘れがちである。

たまには、こういう事件を読んで、その重要性を再認識しなければならない。

イランの女性弁護士、資格停止に抗議の座り込み

イスラム革命により政教一致の国を作り上げた国だけに、要するに近現代の常識が通じないところだが、それだけに反面教師にはちょうどいい。

ソトゥーデ氏は改革派の政治犯らの弁護に尽力したことから、「国家の安全を脅かした」として2010年に逮捕された。昨年9月に釈放されたが、司法当局は同協会に対し、政治犯の擁護を続けるソトゥーデ氏の資格停止を要求。同協会は18日、3年間の資格停止を決めた。

平和ボケの皆さんは、こんなの異常な国の出来事で、日本ではありえないでしょうとおっしゃるかもしれない。

しかし、「改革派の政治犯の弁護に尽力した」というところを「光市の母子殺害事件犯人の弁護に尽力した」と置き換えてみれば、弁護士が社会の敵と目される刑事被告人の弁護活動を熱心にやっただけで世間からどんな目で見られるか、日本も決して安心できる国とはいえないことが分かるはずだ。

あるいは昨今の政治情勢で、反日的と世間が騒ぐような行為をした者を弁護するとか、世間を敵に回して弁護活動をすることの大変さは想像に難くない。サヨク弁護士とか、人権派弁護士とか、悪口として通用する言葉になってしまっているのである。

そうはいっても政府が弁護士会に圧力をかけて弁護士資格を取り上げるなんて、日本では全く考えられないというかもしれない。

しかし現に上記の光市の事件では、第四の権力たるマスメディアがアホなタレント弁護士による懲戒申立ての扇動を許し、結果として統計的に特異なほど懲戒申立てが刑事弁護人に対して寄せられたのである。そのアホなタレント弁護士はその後政治家になっている。

その他、刑事裁判で開示された取調べ過程の録画データを取調べ可視化問題の報道素材としてテレビ局に提供した弁護士に対して、検察が懲戒申立てをしたことは記憶に新しい。
その行為に賛否はあれども、行政府の権力の一翼を担う検察が弁護士会に懲戒申立てをして特定弁護士の資格を奪おうとする行為は、皆無というわけではないし、これが初めてというわけでもないのだ。

まあ、日本でイランのようなことが直ちに起きるとは、さすがに思ってはいないのだが、それは弁護士自治が一応しっかりしているからである。
今の弁護士会のふるまいに不満がある弁護士さんたちは沢山いると思うが、それでも弁護士会による自治に変わるシステムは、今のところ全く考えられないので、弁護士会という仕組みを放棄するようなことは不幸を招くだけである。

なお、弁護士(会)のすることに一切批判をするなということではないので誤解なきよう。

引用:Iran:弁護士の独立性・自治がいかに大事かを象徴する事件: Matimulog

町村泰貴 – Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BA%E6%9D%91%E6%B3%B0%E8%B2%B4

ところが、起訴検察官でもある関口検事は、B氏に対する反対尋問で、名誉を著しく傷つける質問を何度も行った\藤井美濃加茂市長事件/郷原信郎弁護士

証人の名誉・プライバシーを踏みにじる検察官

それだけではない。検察官のB氏に対する反対尋問にも重大な問題があった。「詐欺師と検察官が結託して藤井市長を追い込もうとしていることに義憤を感じて、拘置所から藤井市長に手紙を書いた」とするB氏に対する「腹いせ」としか思えなかった。

B氏は、実刑判決を受けて服役を控えている身であり、手錠腰縄で拘束された状態で公開の法廷に出ることは名誉・プライバシーの侵害につながる。本来事件とは無関係のB氏の立場に配慮し、傍聴席との遮蔽措置をとることが決定された。

また、B氏のフルネームが傍聴席に知られることがないよう、証人尋問に先立って証人の住所・氏名を確認する際も「証人カード記載のとおり」のみで済ます配慮がなされ、弁護人も、尋問の冒頭において、傍聴人に対して、証人の名前が法廷外に知られることがないよう配慮を求めた。

ところが、起訴検察官でもある関口検事は、B氏に対する反対尋問で、名誉を著しく傷つける質問を何度も行った。

弁護人の質問において、B氏に対して、藤井市長の事件とは全く無関係で、何の得にもならないのに、市長宛ての手紙を送ったことを確認していた。そのB氏に、関口検事は、「会食の場の同席者のA氏と知り合いではないか」と質問したのだ。A氏の自宅から押収された暴力団員の名刺に書かれた名前がBの名前であることを前提に、その名刺を、あたかも、A氏とB氏が知り合いであることの根拠であるかのように示し、組の名称や名前を何回も読み上げたりしたのだ。

B氏が、被告人・弁護人側に有利な供述をしているA氏に依頼されて、一連の証言を行っている疑いがあるとでも言いたかったのであろう。B氏は、「全く知らない」と答えた。

公判後、A氏に確認したところ、上記の名刺は10年ぐらい前に居酒屋を経営していた際に、店に来た暴力団関係者の名刺がたまたま自宅に残っていただけだとのことであった。もちろん、A氏とB氏は何の交流もない。そのような質問を行うのであればA氏に事前に確認するのが当然であるが、A氏への検察官からの事前の問合せは全くなかったとのことであった。

関口検事の質問は、B氏の名誉を著しく傷つけただけではなく、A氏が暴力団関係者と交際があるかのような印象をも傍聴人に与える、極めて不当なものであった。

また、B氏が中林に送った手紙の内容に関して、殊更にB氏の名前が含まれている手紙の文面を何か所も読み上げたりしもした。

結局、そういった関口検事の嫌がらせで、B氏のフルネームも傍聴席にわかってしまった。裁判所や弁護人の配慮を全く無にし、証人の名誉・プライバシーを著しく傷つける質問を行ったのだ。そこには、「公益の代表者」として検察官が求められる証人への最低限の配慮すらなかった。

引用:美濃加茂市長事件、「検察の迷走」を象徴する実質審理の幕切れ | 郷原信郎が斬る