「裁判員制度」タグアーカイブ

戦時裁判の特徴は 「簡易」 「迅速」 「重罰」 裁判員裁判は戦時裁判そのもの/深澤諭史弁護士のリツイート

おまけ:

裁判員制度だって、選択権を弁護人に与えるとか、量刑については裁判員の判断の対象外とするとか、改善すべきポイントを/小倉秀夫弁護士

国家権力の一番えぐいところを人民に担わせる。三つ目は殺されるかもしれない、ということです。兵隊は弾に当たって殺されますが、裁判員だって社会的な死がありえます/高島章弁護士

市民の意見の反映とか,制度趣旨が損なわれるとか,何か気楽にいっていますが,裁判員法はちゃんと読みましたか?/深澤諭史弁護士

武内氏は「国民に人を裁くことを強制する裁判員制度の廃止」を主張。「権力に対し、市民の側で闘う弁護士会が必要とされている」と訴える。

日本弁護士連合会(山岸憲司会長、会員約3万5千人)の次期会長選が8日公示され、東京弁護士会所属の武内更一(こういち)氏(56)と、第一東京弁護士会所属で元日弁連副会長の村越進(すすむ)氏(63)が立候補を届け出た(届け出順)。届け出期間は14日まで。今のところ両氏以外に立候補の動きはない。投開票は2月7日。任期は4月1日から2年。

 法科大学院修了者の司法試験合格率の低迷や、若手弁護士の就職難などが問題になるなか、法曹養成制度が争点になりそうだ。

 武内氏は「多額の学費がかかる法科大学院制度を廃し、誰でも受験できたかつての司法試験に戻すべきだ」と主張。村越氏は「年間の司法試験合格者を当面1500人以下に抑え、法科大学院の定員減や統廃合を促すべきだ」と訴える。

 他の論点では、武内氏は「国民に人を裁くことを強制する裁判員制度の廃止」を主張。「権力に対し、市民の側で闘う弁護士会が必要とされている」と訴える。村越氏は「裁判所や検察庁、特に支部の態勢を整備し、労働審判なども扱えるようにする。市民がアクセスしやすい司法をめざす」としている。

 2年前の前回会長選は、最多得票者が「全国52の弁護士会の3分の1以上の会で得票1位にならねばならない」とする当選要件を満たさず、結局、史上初めて3度の投票が行われる事態となった。

引用:日弁連会長選スタート 2氏届け出、法曹養成制度が争点:朝日新聞デジタル

裁判員PTSD国賠訴訟傍聴記を読んで 国が大嘘の答弁/猪野亨弁護士

今年3月、裁判員として動員され、殺人の写真を見せられた女性がPTSDを発症、その責任を国に問うべき国賠訴訟が提起されました。
 その第1回の口頭弁論期日が、9月24日に開催されています。
「奇っ怪な国の答弁 裁判員の辞退を認めている?」

 私自身は、報道でしかその内容を知り得ませんが、裁判員制度はいらないインコのウェブ大運動のホームページに傍聴記が掲載されています。

「ストレス障害国賠訴訟はじまる その1 ―公判傍聴記」
「ストレス障害国賠訴訟はじまる その2 ―第1回口頭弁論期日のやりとり」
「ストレス障害国賠訴訟はじまる その3 ―原告本人の意見陳述―」

 この傍聴記の中では、被害者の方の心情などがとても詳しく記載されているので、是非、ご一読ください。

 私が気になるのは、やはり国側の答弁ですが、下記の部分が非常に重大です。

「(裁判員法の立法理由、立法過程、立法内容を説明した上で)「国民の感覚が裁判内容に反映されることで、司法に対する国民の理解や支持が深まり、司法がより国民的な基盤を獲得できるようになる…」という司法制度改革審議会の提言(注:2001年6月)を受けて、国会では十分審議された。」

 国会では衆参ともにろくな審議もなされていません。国は大嘘つきです。
 これだけの重要法案が何故か全会一致で、しかも短期間ですんなりと成立してしまったのです。
 そこでは全く国民不在でした。国民的な議論もなく、成立してしまったことが問題でしたが、とにかく国会はろくな審議はしていない、これはだけはっきりしています。

 そして、本来、人権保障の立場に立たなければならない日弁連が翼賛的にこの裁判員制度に迎合したことが一番の問題です。

 裁判員制度が実施間際(2008年末には、候補者30万人に一斉に通知が送付されることになっていました。)になった2008年8月、共産党、社民党が国民的合意ができていないことを理由に実施の延期を主張したのです。

 これに慌てたのが日弁連執行部ですが、一番、見苦しい醜態をさらしていました。

 私たち北海道裁判員制度を考える会では、2009年8月に各党を招き、裁判員制度に関するシンポジウムを開催しました。

「本音で語ろう裁判員制度 各党に問う」
 衆議院選挙の前でしたが、政党としては、新党大地、共産党、社民党が制度の凍結に賛同してくれ、民主党議員も個人として賛同してくれていました。
(自民党は文書回答のみでシンポジウムには欠席。公明党、欠席。)

 これは何よりも国民的議論がなく、裁判員制度が国民が求めたものではなかったことの何よりの証拠です。

 最高裁の意識調査によってもそれが裏付けられています。
 義務であっても参加したくない41.1%
 義務であれば参加せざるを得ない42.3%
 何と83.4%もの国民が拒否反応を示しているのです。

最高裁意識調査

 国の主張は、形ばかりの国会での審議を楯にとり、ウソを強弁するものであり、断じて許されるものではありません。

 国にとっては国民不在は別に裁判員制度の問題に限ったことではなく、どうでもよいことなのかもしれませんが、この裁判員制度についていえば、国自身が司法審意見書の「国民の感覚が裁判内容に反映されることで、司法に対する国民の理解や支持が深まり、司法がより国民的な基盤を獲得できるようになる…」の部分を引用していますが、要は、司法の中に国民を取り込んで国民を教育してやるという思想なのですから、最初から国民は不在だったのです。
 それを国自身が認めたといえます。

 ちなみに司法審意見書では、以下のように記載されています。

「21世紀の我が国社会において、国民は、これまでの統治客体意識に伴う国家への過度の依存体質から脱却し、自らのうちに公共意識を醸成し、公共的事柄に対する能動的姿勢を強めていくことが求められている。国民主権に基づく統治構造の一翼を担う司法の分野においても、国民が、自律性と責任感を持ちつつ、広くその運用全般について、多様な形で参加することが期待される。国民が法曹とともに司法の運営に広く関与するようになれば、司法と国民との接地面が太く広くなり、司法に対する国民の理解が進み、司法ないし裁判の過程が国民に分かりやすくなる。その結果、司法の国民的基盤はより強固なものとして確立されることになる。」 

 重要なのは、この部分です。

「国民は、これまでの統治客体意識に伴う国家への過度の依存体質から脱却し、自らのうちに公共意識を醸成し、公共的事柄に対する能動的姿勢を強めていくことが求められている。」

 だから裁判員として責任を果たせというのが裁判員制度なのです。
 裁判員制度は、非常に恐ろしい制度なのです。

引用:裁判員PTSD国賠訴訟傍聴記を読んで 国が大嘘の答弁

説明が過ぎると、予断を与え予断排除の原則に抵触する恐れもありそう。→裁判員選任 「映像提示」と事前説明/落合洋司弁護士


このままでは、刑事訴訟手続きの公平性に対する信頼を失墜させていると言わざるを得えないでしょう/猪野亨弁護士

裁判員の精神的負担をめぐる問題で、愛媛県の松山地裁が、傷害致死事件の公判で「遺体の写真」を提示する予定があると裁判員候補者に説明したところ、2人が不安を訴えたため、辞退が認められていたことが明らかになった。

裁判員の精神的負担については、元裁判員の女性が今年5月、事件被害者の遺体写真を見たことで急性ストレス障害になったとして国賠訴訟を起こし、注目を集めた。7月には東京地裁が、裁判員選任手続きの際に遺体写真などの証拠について予告し、候補者が不安を訴えた場合には辞退を柔軟に認めることを申し合わせていた。

この東京地裁の運用方針を参考にするよう、最高裁が各地裁に通知したため、全国でも同様の運用が始まるとみられていた。ネットでは「これでは誰も裁判員をやらなくなる」といった声も出ているが……。裁判員制度に疑問符を投げかけている猪野亨弁護士に意見を聞いた。

●裁判員になる人が偏り、制度の根幹が崩れる

「現在の裁判員制度では、裁判員になることは国民の義務とされています。刑事裁判の中で示される種々の書証を見ることも『当然の前提』です。もちろん書証の中には、遺体の写真などショッキングな内容も含まれています。

しかし現実に、裁判員が急性ストレス障害を発症したということになると、今後は単純に『義務だからやれ』『ちゃんと証拠を見ろ』というわけにはいかなくなるでしょう」

――生々しい写真を直接見なくても済むようにするなど、負担軽減策も話し合われているようだが?

「だからといって白黒やイラストなどにしてしまえば、『証拠を見ないで裁判の評議、評決に関与する』ということになってしまいます。それは刑事裁判にとって、非常に大きな問題でしょう」

――そこで「見たくない人には辞退を認める」という話になってきたのでは?

「ところが、そもそも裁判員の辞退は、以前からかなり広く認める運用がなされています。2012年度は事前辞退の57.3%が認められています。

裁判員制度は広く無作為に裁判員を抽出し、一般人の意見をくみ取ることに目的があったのですから、こんなに広く辞退を認めてしまえば、制度の根幹を崩すことになります」

――裁判員に偏りが生じるということ?

「そうですね。積極的に裁判員になりたいという人は、実はかなり限られています。最高裁が2013年1月に行った意識調査では、『参加したい』という人は4.7%、『参加しても良い』は10.2%にしか過ぎませんでした。

逆に裁判員をやりたくないという声は圧倒的多数で、41.9%が『あまり参加したくない』、同じく41.9%が『義務であっても参加したくない』と回答しています」

――つまりは?

「積極的に裁判員になりたい層は、そもそも一部に過ぎないということです。大多数が辞退し、そういう人たちばかりが……たとえば『犯罪現場の写真を見たい人(見ても構わない人)』ばかりが裁判員になるという制度で、一般人の意見をくみ取るという目的は達成できるのでしょうか」

――裁判員になりたくないという人がこれほど多いとは……。なぜこんなことに?

「刑事裁判に裁判員を関与させることに無理があったばかりでなく、国民的な合意もないまま、この制度を強引に始めたことが、このような矛盾を引き起こしたと言えます。

このままでは、刑事訴訟手続きの公平性に対する信頼を失墜させていると言わざるを得えないでしょう」

確かに、意識調査に対して4割を超える人々が「義務であっても参加したくない」と回答するようでは、制度はピンチと言えるだろう。運用5年目に入った裁判員制度だが、乗り越えなくてはならない課題はまだまだ数多く残っているようだ。

(弁護士ドットコム トピックス)
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【取材協力弁護士】

猪野 亨(いの・とおる)弁護士
今時の司法「改革」、弁護士人口激増、法科大学院制度、裁判員制度のすべてに反対する活動をしている。日々、ブログで政治的な意見を発信している。
事務所名: いの法律事務所

引用:「遺体写真見たくない」で辞退容認 「裁判員裁判」の根幹が揺らいでいる?|弁護士ドットコムトピックス