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「専門家の診察を待たなければならないが、通常の話はできている」として責任能力はあると判断した、と →<柏の連続通り魔>/ジャーナリスト江川紹子

例えば「反省している」と述べる者が真摯に反省しているかとか責任能力の有無とか精神的苦痛の程度とか、外観で正確に判別することは困難だ。/弁護士あだちけいた

判決は「精神障害ではない心理学的要素の学習性無力感から責任能力を導き出そうとしており、採用できない」と否定。/

2013.10.31 23:44

 兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件発覚の端緒となったドラム缶遺体事件で、神戸地裁は31日、大江和子さん=当時(66)=への傷害致死などの罪に問われた長女、香愛(かえ)被告(45)ら3被告の責任能力を認め、有罪判決を宣告した。角田美代子元被告=自殺、当時(64)=に支配され、心神喪失状態だったとする弁護側の主張を退けた判決について、心理操作に詳しい立正大の西田公昭教授(社会心理学)は「判例を踏まえた妥当な判断だ」と語った。

 3被告が元被告の指示に無抵抗に従う「学習性無力感」という心理状態に陥り、行動制御能力を喪失したとする精神鑑定について、判決は「精神障害ではない心理学的要素の学習性無力感から責任能力を導き出そうとしており、採用できない」と否定。香愛被告と大江さんの次女、裕美(ゆみ)被告(42)に執行猶予を付け、裕美被告の元夫、川村博之被告(43)を実刑とした。

 判決について、西田教授は「学習性無力感が常に3被告に影響を与えていたと考えにくい。心神喪失を認定しなかった点は理解できる」と評価。「鑑定は学習性無力感ですべてを説明しようとしたことに無理がある」と指摘した。裁判員による審理については「短時間で専門的な内容を理解するには相当な苦労があっただろう」と話した。

 裁判員を務めた男女2人が閉廷後に会見し、いずれも「審理が1カ月では短かった」と振り返った。責任能力の判断について、女性は「考え方によって結果がばらばらになる」と指摘。男性は「専門家に分かりやすい説明をしてもらい、一般人である裁判員が判断することに意義があった」と述べた。

引用:【尼崎連続変死】責任能力認定した神戸地裁判決 有識者「判例踏まえた妥当な判断」 – MSN産経ニュース

弁護側の請求に基づいて地裁が実施した精神鑑定は、3人が美代子元被告に完全に「支配」され、責任能力は失われていたと結論づけた。/尼崎変死、3被告に求刑

■裁判員「なぜ逃げなかったのか」

 「自分なら美代子元被告に抵抗できたか考えていただきたい」。21日の最終弁論で川村被告の弁護人は裁判員らに問いかけ、無罪を訴えた。

 家族間暴力の強要、たばこの火を顔に押しつけるなどの暴行、絶食、睡眠やトイレの制限……。先月25日から12回の公判では、美代子元被告のすさまじい虐待の実態が明かされた。「息をする以外はすべて指示に従った」。川村被告は被告人質問で当時をそう振り返った。被告3人をまっすぐ見つめ、涙を流しながら供述を聞く裁判員もいた。

 裁判員自ら、「なぜ逃げなかったのか」「美代子元被告になぜ取り込まれたのか」と質問する場面も。香愛被告は「逃げても突き止められ、残った家族が嫌がらせを受けると思った」、川村被告は「恐怖が根底にあるが、仕事のアドバイスをもらって恩を受けた」と答えた。

 弁護側の請求に基づいて地裁が実施した精神鑑定は、3人が美代子元被告に完全に「支配」され、責任能力は失われていたと結論づけた。検察側は鑑定手法に誤りがあるとして結果の信用性を否定。裁判員らは今後の評議で、3人の刑事責任能力の有無について判断する。(青田貴光)

引用:「息する以外、指示に従った」 尼崎変死、3被告に求刑:朝日新聞デジタル

責任能力は、精神病の病歴がある時だけに問題になるものではない、ということを念頭に置き慎重に見る必要があるということを考えさせられるケース/落合洋司弁護士

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130529-00000475-yom-soci

片田真志裁判官は「会社員は犯行時、熱中症による急性錯乱状態で、心神喪失だった可能性がある」として無罪を言い渡した。弁護側によると、熱中症を理由に刑事責任能力を否定した判決は異例という。

判決によると、会社員は同月9日夜、神戸発香川行きのフェリーに乗り遅れ、野宿していたところ、かばんを盗まれたため、神戸市内を2日間にわたって徘徊(はいかい)。同月11日午後6時頃、散歩中の無職男性(80)を殴り倒した後、顔を踏みつけるなどし、高次脳機能障害の後遺症が残る重傷を負わせ、通行中の40歳代の男性の顔も殴り、軽いけがをさせたとして起訴された。

会社員は2人と面識がなく、目撃者には「殴りかかられたので倒した」と説明し、兵庫県警の調べには「なぜ襲ったのかわからない」などと供述していた。

地裁が職権で実施した精神鑑定では、会社員は2日間、睡眠や食事をとらず、犯行当日の気温が28度、湿度が60~80%だったことから、「熱中症により、意識混濁や被害妄想などの意識障害が生じていた」との見解を示していた。

私も、刑事司法に関わるようになって今年で25年目ですが、熱中症で責任能力を否定した事例というのは聞いたことがないですね。確かに異例の判決だと思います。

ただ、記事によると、面識のない人に一方的に暴行を加え動機にも何ら合理性がなく、その当時に心身の状態が相当悪かったことは捜査機関も把握できていたはずですから、医師の意見を聞く、鑑定を行う、といったことを捜査中に慎重におこなっておくべきではなかったかと思います。記事では、捜査中にそういった点を意識した捜査が行われていたか不明ですが、公判で、裁判所の職権により鑑定が行われたとのことであり、十分な捜査が行われていたとは考えにくいものがあります。

責任能力は、精神病の病歴がある時だけに問題になるものではない、ということを念頭に置き慎重に見る必要があるということを考えさせられるケースです。

引用:2013-05-29 – 弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」