「モトケンこと矢部善朗弁護士(京都弁護士会)」タグアーカイブ

医療側からだけでなく、司法のあり方を考えている研究者の方からも注目されているようです<元検弁護士のつぶやき>


大杉謙一先生のブログで

 医療崩壊問題は、医療側からだけでなく、司法のあり方を考えている研究者の方からも注目されているようです。

 おおすぎ Blog - 昨今の責任厳格化への一つの疑問(大杉謙一先生のプロフィール )

 大杉先生が、元ライダーさんのコメントに注目されていることから明らかなように、このブログにおいては、医療側、司法側、ど素人側(失礼^^;)がそれぞれ忌憚のない意見を延べあうことによって、それぞれにとって問題点がだんだんよく見えてくるようになっていると思います。

 投稿者の皆様に対して、いろんなところで見ている人がいるということをお知らせしたく、紹介させていただきました。
モトケン (2008年8月 4日 10:13) | コメント(1) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:大杉謙一先生のブログで – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

判決予想自体はそれほど意味があるとは思えませんので、判決が出たらこのエントリは消すかも知れません<元検弁護士のつぶやき>


大野病院事件判決前日のエントリ

 いよいよ明日地裁の判決が予定されています。
 医療側の皆さんとしては、確信をもって、または強い願望のもとに、無罪判決を予想されている方もいるかも知れませんが、私の予想は、無難に五分五分というところです。

 故意犯における故意は、基本的に事実認定としての有無の問題と言っていいと思いますが、過失は、事実の存否の認定というより評価の面が強いです。

 既に医療側から何度も指摘されていますが、大野病院事件において、過失を認定するに当たっての障害はほとんどないと思います。
 じゃあ、当然有罪かというとそうでもありません。
 無罪とする理由もあるように思われます。

 つまり、裁判官が、取り調べられた全ての証拠の検討を踏まえて、被告人を処罰すべきであると考えれば過失があると認定するし、処罰すべきでないと考えれば過失を認定しないだろうと思われるのです。
 これは、「まず結論ありき」というのとは違います。
 証拠調べの結果明らかになった事実と、弁護人・検察官双方の主張を聞いた上での判断です。

 傍聴記などの情報に基づけば、事実関係としては、どっちも可能性があると思います。
 となると、もっとも大きな問題は判決の社会的影響をどう見るかだと思われます。
 被告人を処罰すべきかどうかの判断に当たって、裁判官が被害者・遺族の顔を強く思い浮かべれば過失有りに傾くかも知れませんし、本件の起訴の後で閉鎖された産科やその結果、不安を抱えながら遠くの病院にまで行かなければならなくなった妊婦の顔を強く思い浮かべれば過失なしと判断するかも知れません。
 但し、以上はごく単純化した見方です。

 ともかく明日の判決を待ちたいと思います。

 判決予想自体はそれほど意味があるとは思えませんので、判決が出たらこのエントリは消すかも知れません。
モトケン (2008年8月19日 12:26) | コメント(48) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:大野病院事件判決前日のエントリ – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

被害者遺族の心情を基点として諸問題を判断した場合には<元検弁護士のつぶやき>


飯野奈津子解説委員の時論公論について

 「産科事故裁判からの問いかけ」

 主として医療側から強く批判されている、大野病院事件判決に関する飯野奈津子解説委員の持論公論が掲載されています。

 私から見ても批判すべきところがありますし、傾聴すべきところもありますが、とりあえず一番気になるところをコメントします。

 飯野解説委員の主張は、遺族である死亡女性の父親の主張(主張というよりは主として気持ち、思い)と医療側を対置して立論している部分が多いと感じられます。
 これは、光市母子殺害事件における、本村洋氏と弁護団を対置させた報道姿勢を思い起こさせます。
 いわゆる被害者遺族の心情を基点として諸問題を判断した場合には、その判断を一般化したらどうなるかという視点が欠落してしまう恐れを危惧します。
 同様の問題が光市母子殺害事件の報道について指摘されたはずですが、飯野委員はそのような指摘を理解できなかったのでしょうか?
 同じ過ちを繰り返しているように思われます。

 今回、執刀した医師は、手術の前に輸血や子宮摘出の可能性を遺族に説明しており、難しい手術であることは認識していたとみられます。それなのに、輸血血液も十分供給されず、一人しか医師がいない体制で、なぜ、手術に臨んだのか。手術の前に、大きな病院への転院や医師の応援要請を、関係者から助言されたのに断っていたことも、裁判の過程で明らかになりました。医師不足の中でも、医療機関が連携するなど、安全を確保する努力を重ねることが、医療側に求められているのだと思います。

 の部分ですが、例えば、問題が生じそうな帝王切開手術全てについて、「手術の前に、大きな病院への転院や医師の応援要請を」したらどうなるか、そんなことが可能なのか、可能とするためにはどうしなければいけないか、という問題点の指摘がありません。
 そして「医療側に求められているのだと思います。」と言って、その対応の全てを「医療側」に要求しています。
 飯野委員の言う「医療側」とは何なんでしょうか?

 医療側の皆さんからすれば、本件を「医療事故」と繰り返し書いているところも強い違和感があるところだろうと思います。

 しかし、裁判で無罪判決が出たからといって、今回の事故に問題がなかったわけではありません。

 飯野委員が無罪判決の論理をどのように理解しているのか、また医療現場における「事故」という言葉をどのように理解しているのか、本件のどの部分をもって「事故」と評価しているのか、などは必ずしも明らかではありません。

 全体として、「公論」と言うに値するかどうか疑問です。
モトケン (2008年8月22日 12:01) | コメント(31) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:飯野奈津子解説委員の時論公論について – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

刑事司法には限界、それもとても大きな限界があることを全ての人が理解するべきです<元検弁護士のつぶやき>


死亡女性の父親の不満について

死亡女性の父親が会見 「非常に残念」 大野病院事件(産経ニュース)

 テレビのニュースでは、「真実を知りたい」ということを強調されていましたので、お父さんが知りたい「真実」というのはなんなんだろうと思っていたのですが

 終始固い表情の渡辺さんは「私が本当に知りたいのは、手術中の詳細なやりとりではなく、(加藤医師が)どうして態勢の整った病院に娘を移さなかったのかということだった。裁判では明らかにされず悔しい。

 こういうことだったのですね。
 しかし、本件の裁判では、これを期待するのは少々無理があったと思います。
 なぜかといいますと、加藤医師が別の病院に娘さんを移送しなかったことは過失の内容になっていないからです。
 つまり、争点ではないわけですから、少なくとも移送しなかったことをメインテーマにすることはできません。
 検察官が、付随事情として被告人質問で聞くことはできたと思いますが、加藤医師がそれなりの答をすればそれで終わりにせざるを得ない問題です。
 専門的な言い方をすれば、これは検察官の訴因構成の問題であって、加藤医師の責任ではないことはもちろん、裁判所の責任でもありません。

 命を預かっている以上、すべての不安を取り除いて臨んでほしかった」と、不満をあらわにした。

 お父さんとしては、当然の不満だと思いますが、全ての患者(妊婦)に対して、完璧な医療を提供することは不可能ですから、これも裁判所の判断を左右する事情にはなりえないと思われます。

 刑事司法には限界、それもとても大きな限界があることを全ての人が理解するべきです。
 その意味で、

 これを機に、医療も良い方に変わってもらえたら」と理由を説明。また、国が進めている“医療版事故調”設置については「真実を説明してもらえる機関になってもらいたい」と要望した。

 という要望には、関係者全てが耳を傾けるべきだと思います。
モトケン (2008年8月20日 22:22) | コメント(101) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:死亡女性の父親の不満について – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

多くの医師が長い時間をかけて積み重ねた医療の誠実さへの信頼も、一人の医師・病院の不誠実な医療行為、その後の隠蔽工作などによって、すべて瓦解しかねません<元検弁護士のつぶやき>


誠実な医療の重要性

 産科医無罪 医療の透明性高めたい(8月22日)

 これは、北海道新聞の社説です。

 臓器を取り違えて摘出したり、医療器具を体内に置き忘れたりといった医師の明白なミスで、刑事責任を追及するのは当然だ。

 だが、通常の医療における医師の裁量権にまで踏み込むのは捜査権の乱用と戒めたと言える。医療現場の実態を尊重した判決だ。

 この感覚は常識的なものだろうと思います。
 判決は、理論的にも「医療現場の実態を尊重した判決」と言っていいと思います。
 ここまでなら、特に紹介するほどの社説ではないのですが、私の目を引いたのは最後の2行です。

 医療にはリスクが伴う。だれもが納得できる結果を得られるとは限らない。だからこそ、医療の透明性と医療従事者の誠実な対応が必要なことを、今回の事件は示している。

 この社説の筆者が、どういう場面における「誠実な対応」を問題にしたのかは明瞭ではありませんが、社説を離れて私が思いますに、判決が加藤医師を無罪とした判断プロセスの中に、加藤医師の医療行為については誠実なものと認めたからではないかと想像しているのです。

 裁判所から見た誠実さという観点で言えば、本件と対置される事件が、慈恵医大青戸病院事件の判決です。
 慈恵・青戸病院事件 手術ミス死3医師有罪…東京地裁判決(2006年6月15日 読売新聞)

 大野病院事件の判決に示された論理が定着していくためには、なにより医療側の誠実な医療の積み重ねが大事だと思います。
 しかし、多くの医師が長い時間をかけて積み重ねた医療の誠実さへの信頼も、一人の医師・病院の不誠実な医療行為、その後の隠蔽工作などによって、すべて瓦解しかねません。
 その意味でも、患者の不信に応える医療の透明性は不可欠だと思います。
 
 どれだけ透明にしても「患者の不信」を払拭できないという意見があろうかと思いますが、それも積み重ねで解決していかざるを得ない問題だろうと思います。
モトケン (2008年8月24日 13:25) | コメント(262) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:誠実な医療の重要性 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

不信に応える医療の透明性は不可欠だと思います<元検弁護士のつぶやき>


誠実な医療の重要性

 産科医無罪 医療の透明性高めたい(8月22日)

 これは、北海道新聞の社説です。

 臓器を取り違えて摘出したり、医療器具を体内に置き忘れたりといった医師の明白なミスで、刑事責任を追及するのは当然だ。

 だが、通常の医療における医師の裁量権にまで踏み込むのは捜査権の乱用と戒めたと言える。医療現場の実態を尊重した判決だ。

 この感覚は常識的なものだろうと思います。
 判決は、理論的にも「医療現場の実態を尊重した判決」と言っていいと思います。
 ここまでなら、特に紹介するほどの社説ではないのですが、私の目を引いたのは最後の2行です。

 医療にはリスクが伴う。だれもが納得できる結果を得られるとは限らない。だからこそ、医療の透明性と医療従事者の誠実な対応が必要なことを、今回の事件は示している。

 この社説の筆者が、どういう場面における「誠実な対応」を問題にしたのかは明瞭ではありませんが、社説を離れて私が思いますに、判決が加藤医師を無罪とした判断プロセスの中に、加藤医師の医療行為については誠実なものと認めたからではないかと想像しているのです。

 裁判所から見た誠実さという観点で言えば、本件と対置される事件が、慈恵医大青戸病院事件の判決です。
 慈恵・青戸病院事件 手術ミス死3医師有罪…東京地裁判決(2006年6月15日 読売新聞)

 大野病院事件の判決に示された論理が定着していくためには、なにより医療側の誠実な医療の積み重ねが大事だと思います。
 しかし、多くの医師が長い時間をかけて積み重ねた医療の誠実さへの信頼も、一人の医師・病院の不誠実な医療行為、その後の隠蔽工作などによって、すべて瓦解しかねません。
 その意味でも、患者の不信に応える医療の透明性は不可欠だと思います。
 
 どれだけ透明にしても「患者の不信」を払拭できないという意見があろうかと思いますが、それも積み重ねで解決していかざるを得ない問題だろうと思います。
モトケン (2008年8月24日 13:25) | コメント(262) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:誠実な医療の重要性 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

視野狭窄あるいは客観視の欠落<元検弁護士のつぶやき>


視野狭窄あるいは客観視の欠落

 トラックバック元で見つけた毎日の記事なんですが、最初にお断りしておきますが、取材対象者を批判する意図は毛頭ありません。
 63歳の高齢と言っていい女性です。
 ピンボケな話をしても責めるのは酷というものです。
 批判されるべきは、文章が他人(読者)にどう読まれるかを最も意識すべき職業であるのに、何にも考えずに書いてしまう馬鹿な記者です。
 署名記事なんだから責任をとりなさい。毎日の遠山和宏君!

 http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20080824ddlk43040245000c.html

 --知的障害のある人を取り巻く環境は変わりましたか。

 ◆まだまだ厳しいです。先日、羽田空港から飛行機に乗った時、娘がシートベルトを付けるのを嫌がりました。私が上から抑えていたので問題はないと思うのですが、しっかり締めずに声を出していたこともあってか「シートベルトをしていない人を乗せることはできない」と、降ろされました。別の便に乗って帰りました。

 言うまでもないと思いますが、航空会社の対応は当然というべきで何ら問題はないと思います。

 案の定、2ちゃん方面では取材対象者に対する読むに耐えないバッシングです。
 この記者は、自分の思い入れだけで記事を書いてますね。
 自分が思っていること感じていることは、(どんな文章であっても)読者に伝わる、読者は自分と同じ気持ちになってくれる、と信じているんでしょう。
 このような思い込みがどれほど有害な結果を生じるか、分かってない。

 これはもう毎日の体質と言うべきなんでしょうか?
 いまさら疑問符もないだろうという声が聞こえてきますが。
モトケン (2008年8月25日 10:55) | コメント(159) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:視野狭窄あるいは客観視の欠落 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

刑事司法の介入と業界に対する信頼感<元検弁護士のつぶやき>


刑事司法の介入と業界に対する信頼感

 三笠フーズの事故米食用転用偽装について、農水省の対応にも批判が集まっています。
 これまでは、産地偽装が多数発覚し、警察の捜査も何件か着手されていますが、今回は、健康被害に直結しかねないさらに悪質な偽装です。

 農水省は、今後は事前通告なしの抜き打ち検査をすると言っているようですが、今まで、三笠フーズの転売情報を得ていたにもかかわらず不正を見抜けなかった農水省にどの程度の調査能力があるのか、調査の実効性はどの程度なのかという不信感は払拭できないところです。

 このように、業界の底なしの偽装体質があらわになってきたにもかかわらずそれに対する行政の監督が期待できないのではないかという状況があるのであり、そうなると社会は伝家の宝刀を抜かざるを得ないわけです。

 つまり、刑事責任の積極追及による一罰百戒効果の発揮です。
 一罰で足りなければ二罰、三罰、百罰です。
 法改正による厳罰化も視野に入ります。
 農水省と関係業界が、そのような状況を避けようとするならば、業界の自浄作用と農水省の監督能力の証明が必要になっている状況だと思われます。

 このブログでは、どんな話題でも医療に関係付けてコメントをされる方が多いので先取りしますが、この問題を医療に当てはめると、医療に対する刑事司法の介入を最小限度にしようと思えば、医療が刑事司法から信頼される必要があるということです。

 そして、今回の大野病院事件の判決によって、刑事司法の最終判断者であって最高権威者の裁判所(地裁どまりではありますが、警察・検察との関係では明らかに上位者です)から、医療に対する信頼感が示されたのです。
 裁判所が医療を信頼して無罪を言い渡す可能性のある事案については、検察も起訴を躊躇します。
 検察が起訴しそうもない事案については、警察も力が入りません。
 ですから医療側としては、裁判所の信頼を今後も傷つけることなく強化していくことがとても重要だと思われるわけです。
 私が、「誠実な医療の重要性」を書いたのはそういう意味なのですが、意図がなかなか伝わらないようですので、私も食品業界の現状にかこつけて再度指摘してみました。
モトケン (2008年9月 9日 10:32) | コメント(90) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:刑事司法の介入と業界に対する信頼感 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

このような他者批判は、ある意味で自己中な視点です<元検弁護士のつぶやき>


医療側のみなさまへ(特に最近来られた方へ)

 大野病院事件の判決を受けて、昨日今日と、エントリを二つ書きました。
 「誠実な医療の重要性」と「反省すべきは反省し」です。

 これらのエントリの宛先は、医療側の皆様でした。

 「誠実な医療の重要性」は、医師の皆様、自分たちの医療行為に自信を持ちましょう。裁判所にはきっと通じますよ、という気持ちを込めて書きました。
 「反省すべきは反省し」は、大野病院事件の起訴に至る経緯において、医療側に反省すべき点はないかという問題提起でした。

 いずれも医療側の皆様に自らを振り返って、いわばプラス面とマイナス面を正当に自己評価してもらいたいというエントリでした。

 しかし、返ってくる反応は、全てとは言いませんが、ワンパターンの警察・検察が悪い、マスコミも悪い、という他者批判が目につきます。
 このような他者批判は、ある意味で自己中な視点です。

 最近活発な議論が行われてます「医療不信の実態とは?」で、私は「客観視」というキーワードを強調しました。
 「医療不信の実態とは?」ではまず非医療者側の不信感の客観視を求めたわけですが、上記の「誠実な医療の重要性」と「反省すべきは反省し」では、医療側に客観視を求めたエントリであるとも言えます。

 客観視とは、自分以外の他者の視点で自分を見ることだと言えます。
 「誠実な医療の重要性」では裁判官からの視点を意識してもらいたい、「反省すべきは反省し」では検察の視点を考えて欲しい、と言えばわかりやすいでしょうか。

 しかし、法律の素人の医師には、裁判官の視点も検察官の視点も分からない、というのが本音でしょう。
 だからこそこのブログがあると言えます。
 医療崩壊に関する一連のエントリにおける議論は、まさに司法側から医療側に対して法律家の視点を説明するものであったわけです。
 当時から参加されている医療側の皆さんにとっては、またモトケンさん切れそうだな、というところかも知れませんが、最近このブログに来られた医療側の皆さんには、ぜひ読んでいただきたいなと思います。
 はっきり言って膨大ですから、大変だと思いますけど、読む価値はあると思います。
 読む暇がない方も、訴訟リスクをを考える以上は、法律家のものの考え方というのはどういうものだろうか、という好奇心くらいは最低持っていただきたいと思います。
 それが、相互理解の第一歩だと思いますので。

 わざわざ法律家が開設しているブログに来て、医療側と司法側の相互理解を考えないなんていうのは、もったいないと思いませんか?

 しかし、医療側の皆さんは、自分の文章がどう読まれるかについて、あまり深く考えてない人が多いのかなと感じることがあります(^^;
 要するに、素人相手の説得の技術が下手くそということですが(失礼)
 そうであるならば、他者批判をするよりは、自分たちの正当性を訴えるほうがいいんじゃないかなと思います。
モトケン (2008年8月25日 19:45) | コメント(15) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:医療側のみなさまへ(特に最近来られた方へ) – 元検弁護士のつぶやき

<コメント欄の一部>


No.1 デ・ロッシ(勤務医) さん | 2008年8月25日 20:56 | 返信  (Top)

>モトケン先生
先生の心優しいメッセージ、しっかり伝わっております。
数日前から、そのことを書き込もうかと思っていたのですが、なかなかタイミングがつかめず・・(汗)

ほとんどROMですが、どうかこれからもよろしくお願いいたします。
No.2 Med_Law さん | 2008年8月25日 21:22 | 返信  (Top)

モトケン先生から、優しく、諭していただいている気になっています

ふつつか者で、粗忽者ではありますが、引き続き宜しくお願い申し上げます
No.3 法務業の末席 さん | 2008年8月25日 23:29 | 返信  (Top)

今回の大野事件での無罪判決は、被告人の加藤医師の医療に対して真摯に取り組んできた実績、言うなれば加藤医師の「医療に対する誠実さ」を、法廷審理を通して裁判長が感じ取った結果だと思います。

「誠実な医療の重要性」は、医師の皆様、自分たちの医療行為に自信を持ちましょう。裁判所にはきっと通じますよ、という気持ちを込めて書きました。

このモトケンさんのコメントは、裁判官という人間が被告人という人間の行為結果を裁く、すなわち人間が人間を裁くのが刑事裁判の本質である以上、最後は裁判官の人を見抜く目に被告人の人柄がどう写るかで決まるということを言いたいのだと思います。極論すれば刑事裁判において法令解釈だの証拠の評価だのは、被告人の人間性を評価する為の単なるモノサシであり一介の道具に過ぎず、それに拘泥するのは裁判の本質ではない。私は裁判をこのように感じるときがあります。

医療側の皆さんは、自分の文章がどう読まれるかについて、あまり深く考えてない人が多いのかなと感じることがあります

私も医療者の主張に政治的センスが欠けている印象を持ちます。

世間大衆を説得して味方に付けるには、言葉が多少難解であっても、分かり難い表現であっても、主張する内容の理屈が正しければ良いじゃないか、と思っていらっしゃる医師の方々多いように感じるのは残念です。分かりやすく噛み砕いて説明する努力、関心の無い人々にも興味を持って聞いて貰えるように工夫する努力、受け手が反発するような表現を避ける努力、気長に腐らずに何度でも繰り返しにこやかに説明する忍耐の努力、…等々の面で今一つ足りないかなぁ。以前よりこのように感じるシーンが結構ございます。

要するに、素人相手の説得の技術が下手くそということです

医者は身に付けた医療技術の高さで評価が決まる、口下手や口上手は医師の能力には直接関係ない。このようにお考えの医師の方々は結構いらっしゃるのではないでしょうか。

弁護士であるモトケンさんも、社会保険労務士である私も、法律や国家行政制度の高度な知識がその資格の根源です。ですがそうした頭に蓄えた専門知識やノウハウを、法律や行政手続に疎い素人さんに上手に説明出来なければ依頼人から評価して貰えません。説明能力、解説能力というのは我々士業者にとって、法律の条文や専門知識を記憶する能力より遙かに重要な能力です。
(あ~別館では、説明能力に疑問符が付く弁護士の実例も体験できますが…)

私自身は医師の方々を非難する意図はありません。むしろ医師の方々の味方をして、医師が働きやすい医療体制の実現に微力ですがお役に立てて、医療崩壊の心配が解消されれば嬉しいと思うのです。ですが現状、このモトケンブログで見聞する医師の方々の主張の半分は、気持ちは理解するけどあんな言い方をしたら逆効果だなぁ…と感じる部分があります。そこが応援団の一員としてもどかしく、また残念で、敢えて苦言を呈すコメントを致しました。

医師の皆様方、お気を悪くされたかも知れませんが、私の真意をご理解頂ければ幸いです。

引用:医療側のみなさまへ(特に最近来られた方へ) – 元検弁護士のつぶやき

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そしてここは元検弁護士のブログです。<元検弁護士のつぶやき>


再び医療側のみなさまへ

 3度目か4度目かも知れませんけどね。
 このブログで医療問題を取り上げているのは明確な意図があってのことです。
 患者または患者予備軍として、将来もちゃんとした医療を受けたいということです。
 そして、そのためにはお医者さんたちにやる気をもって安心して存分に医師としての能力を発揮してもらいたいのです。

 ところが、議論を始めてみると、「医療崩壊」だ「逃散」だという話になっていることが分かってきました。
 ともかく何が問題なのか医療側の皆さんに教えてもらわなければいけないと思って、私(およびこのブログの常連の法曹のみなさん。以下同じ)は、医療側の訴えに耳を傾けてきたつもりです。
 その結果、医療の不確実性等の医療の本質に係わる問題や、不確実性を理解しない司法への不信、それによる深刻な訴訟リスクなども理解できるようになったと思います。
 
 医療崩壊の原因は非常に多様であって、一言ではまとめきれないと思いますが、その中の大きな要素として訴訟リスクというものがあることはわかりました。
 そしてここは元検弁護士のブログです。
 そこで、私は法律家の観点から司法の仕組み、訴訟リスクの実態等の説明を試みました。
 それによって訴訟リスクの範囲と程度を医療側の皆さんにできるだけ理解してほしいと思ったからです。

 これが、私が何度も強調してきました司法側と医療側の相互理解であったわけです。
 しかし、司法が患者側の働きかけで起動するものである(民事では患者側原告による提訴、刑事では患者側による告訴等)ことからしますと、相互理解は、司法側と医療側にとどまるべきものではなく、患者側、患者予備軍たる多くの一般市民と司法および医療との相互理解が最も重要であるはずです。
 一般市民から理解されない医療は、市民側からの故なき批判にさらされることになり、医療側の士気と誇りはスポイルされ続けるでしょう。

 このブログは、司法・医療・市民の相互理解を目指す場でありたいと思っています。

 そういう問題意識を持たずに、自らの不平不満を述べたいだけの人は、あえてこのブログで発言する必要はありませんし、そのような発言は有害ですらあります。
 不平不満だけなら、ほかに吐き出す場所がいくらでもあるでしょう。

 何度言ってもわからないなら、ほんとに切れますよ!!!
 わざわざ有害情報を提供するために医療問題エントリを立てても仕方がありません!

2008年8月27日10:41am付け追記
 昨日、このエントリを非公開としましたが、事情により再公開します。
 なお、上記事情は医療側の皆さんとは関係のない事情です。
モトケン (2008年8月26日 12:03) | コメント(9) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:再び医療側のみなさまへ – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

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