「業界」タグアーカイブ

法曹に職業としての魅力があるということをどうやってアピールするかが業界に優秀な人材を確保するためには必要だろう/坂本正幸弁護士

取り扱われている業界、世界、関係者にとっては、かなりセンシティブなところに乱暴に手とか首とかを突っ込まれたような印象を受けているのではないかというのが、観てみた率直な印象。/落合洋司弁護士

メディアが実証的でない紋切り調の批判を他業界に対して行うことは歓迎されるのにね。/小倉秀夫弁護士


この数ヶ月で、「最も現状からの変革を拒むのは新聞業界だ」ということが私のフォロワーさんたちには明らかになっていったような。/小倉秀夫弁護士


刑事罰は業界を崩壊させ得る<元検弁護士のつぶやき>


刑事罰は業界を崩壊させ得る

 小倉秀夫弁護士が、「刑事罰は業界を崩壊させるのか」というエントリを書いておられる。

 どの業界を念頭においてのエントリなのか明示がないので不明です。
 きちんと明示して批判なさったほうが、小倉弁護士があげている比喩が的外れなものか当たっているのかはっきりして、より有益な議論になると思うのですがそれはさておき

 業界というかある種の仕事について、刑事罰によって崩壊させられる場面を想定することは可能です。
 小倉弁護士は長距離トラック運転手の例をあげておられますので、私もトラック運転手を例にとってみます。

 A町からB町までの間の道路事情はとても悪く、穴ぼこばかりの未舗装道路ばかりであったと想定します。
 甲運送会社はA町からB町までの物資輸送を請け負っていましたが、途中の道路の未舗装による振動により、1週間に1~2回は積荷が損傷するという事態が発生していました。
 しかし、顧客たちは、道路が悪いんだから仕方がないと考え、誰も甲運送会社や同社のトラック運転手の責任を追及したりしませんでした。
 ところが、ある時、ある顧客が、運送会社が積荷を無事に届けるのは当然だと主張して、壊れた積荷に関する損害賠償請求訴訟を起こすと同時に、運転手と社長を器物損壊罪で刑事告訴しました。
 裁判所は、顧客の賠償請求を認め、社長や運転手は、争ったことから逮捕勾留の上起訴された刑事事件でも有罪になってしまいました。
 甲運送会社の社長や運転手は、こんな仕事やってられないと言って、A町からB町への荷物の輸送をやめてしまいました。
 もちろん、別の会社もA町からB町への荷物の輸送を請け負うことはありませんでしたとさ。

 比喩は以上ですが、何が言いたいかといいますと、ある業界でそれまで「普通のこと」とされていたことが犯罪だとされてしまうと、その業界は崩壊するということです。

 似たようなことが現在進行形で起こっています。

 福島大野病院事件です。
 帝王切開手術の際に妊婦が死亡した事案において、執刀医が業務上過失致死罪等により起訴されました。
 まだ判決は出ていませんが、産科医業界では被告人医師の治療行為は「普通のこと」(*)と認識されており、この事件によって産科医の減少は確実に加速したと考えられています。

 なお、医療行為全般に対する刑事免責については、私としても賛成しかねます。
 ただし、全国医師連盟の「代表からのご挨拶」において、代表の黒川衛氏は

 救命活動時の部分刑事免責

 を主張されています。
 これにつきましては、法制度としての刑事免責へのハードルはかなり高いと思いますが、検察の起訴基準見直し等による運用上の対応の必要性がある領域であると考えています。

(*) 「普通のこと」は私がこのエントリ用の表現として用いたもので、被告人・弁護側の表現ではありません。

追記
 はてブで、小倉先生とおぼしきIDで、過失による器物損壊は不可罰との指摘がありますが、上記比喩では未必の故意が認定可能です。
 過失犯立件の当否の問題じゃなかったのか、という批判が予想されますが、私はこの問題を刑事司法の介入の当否の問題と考えています。そして、私の理解では刑事罰というのは故意犯も過失犯も両方含みます。
 未必の故意と認識ある過失の境界はあいまいですしね。

 このたとえ話が適切かどうかの判断は、医療崩壊問題に関する理解の程度によって左右されるだろうと思います。
 どの例えがどの事情をあらわしているかは、知らない人にはわからないでしょう。
 なお、このエントリが釣られエントリであることは間違いありません。
 売り言葉に買い言葉ですね。
 反省してます m(_ _)m
 あ、この追記もそうですね m(_ _)m m(_ _)m
モトケン (2008年6月15日 16:50) | コメント(329) | トラックバック(2) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:刑事罰は業界を崩壊させ得る – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

ネット情報によってマスコミ業界の人間のどはずれた無神経さに反吐が出そうになっていたの<元検弁護士のつぶやき>


想像力の欠如

 プライベートのリンク集で久し振りに江川紹子ジャーナルを覗いてみましたら、運良く今日付の新作記事がアップされてました。

 ある犯罪被害者批判について

 詳細は、江川さんのサイトで読んでいただくことにして、ここで引用したいのは、以下の一文です。

この森という人は、被害者の置かれている状況について、あまりに想像力が欠けている。というより、実は被害者には(死刑に反対してくれる人以外)興味がないのだろう。

 実は、昨日、あるネット情報によってマスコミ業界の人間のどはずれた無神経さに反吐が出そうになっていたのですが、ここでも似たような感じを受けます。

 森達也氏の原文を読んでいませんし、江川さんが引用した文に対する論評には若干筆が滑っているのではないかと思えるところもありますが、「この感性が、やはり私には、どうしても理解できない。」という江川さんの感性のほうに共感します。
モトケン (2008年8月 8日 18:41) | コメント(55) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:想像力の欠如 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

刑事司法の介入と業界に対する信頼感<元検弁護士のつぶやき>


刑事司法の介入と業界に対する信頼感

 三笠フーズの事故米食用転用偽装について、農水省の対応にも批判が集まっています。
 これまでは、産地偽装が多数発覚し、警察の捜査も何件か着手されていますが、今回は、健康被害に直結しかねないさらに悪質な偽装です。

 農水省は、今後は事前通告なしの抜き打ち検査をすると言っているようですが、今まで、三笠フーズの転売情報を得ていたにもかかわらず不正を見抜けなかった農水省にどの程度の調査能力があるのか、調査の実効性はどの程度なのかという不信感は払拭できないところです。

 このように、業界の底なしの偽装体質があらわになってきたにもかかわらずそれに対する行政の監督が期待できないのではないかという状況があるのであり、そうなると社会は伝家の宝刀を抜かざるを得ないわけです。

 つまり、刑事責任の積極追及による一罰百戒効果の発揮です。
 一罰で足りなければ二罰、三罰、百罰です。
 法改正による厳罰化も視野に入ります。
 農水省と関係業界が、そのような状況を避けようとするならば、業界の自浄作用と農水省の監督能力の証明が必要になっている状況だと思われます。

 このブログでは、どんな話題でも医療に関係付けてコメントをされる方が多いので先取りしますが、この問題を医療に当てはめると、医療に対する刑事司法の介入を最小限度にしようと思えば、医療が刑事司法から信頼される必要があるということです。

 そして、今回の大野病院事件の判決によって、刑事司法の最終判断者であって最高権威者の裁判所(地裁どまりではありますが、警察・検察との関係では明らかに上位者です)から、医療に対する信頼感が示されたのです。
 裁判所が医療を信頼して無罪を言い渡す可能性のある事案については、検察も起訴を躊躇します。
 検察が起訴しそうもない事案については、警察も力が入りません。
 ですから医療側としては、裁判所の信頼を今後も傷つけることなく強化していくことがとても重要だと思われるわけです。
 私が、「誠実な医療の重要性」を書いたのはそういう意味なのですが、意図がなかなか伝わらないようですので、私も食品業界の現状にかこつけて再度指摘してみました。
モトケン (2008年9月 9日 10:32) | コメント(90) | トラックバック(0) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:刑事司法の介入と業界に対する信頼感 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013