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あらためて橋下弁護士の懲戒扇動の罪の大きさを感じます<元検弁護士のつぶやき>



橋下弁護士の懲戒請求350人 (続報追記)

市民ら350人、橋下弁護士の懲戒請求へ 光市事件(asahi.com 2007年12月16日08時01分 ウェブ魚拓)

 既に別エントリのコメント欄で議論されてますが、あらためて紹介しておきます。

追記

橋下氏に懲戒処分を 市民342人が大阪弁護士会に請求(asahi.com 2007年12月17日 ウェブ魚拓)
340人が橋下氏の懲戒処分を請求(産経ニュース ウェブ魚拓)

関係者によると、賛同する市民らが9月以降、知人に声をかけるなどして広がったという。(asahi.com)

 このとおりであるとすると、必ずしも府知事選に対する影響を目的とした懲戒請求ではないかも知れませんが、橋下弁護士自身が

「特定の集団が懲戒請求したならば、政治活動への重大な挑戦で悪質だ」(asahi.com) 「特定の弁護士が主導して府知事選への出馬を表明した時期に懲戒請求したのなら、私の政治活動に対する重大な挑戦であり、刑事弁護人の正義のみを絶対視する狂信的な行為」(産経)

と(報道内容は微妙に違いますが)コメントしているように、選挙に対する何らかの効果を狙ったのではないかと憶測する人が多いのではないかと想像されます。

 今回懲戒請求をした人たちの真意はともかく、そのように感じる人が多いということは、今後の選挙において弁護士が立候補した場合において、弁護士である候補者に対する攻撃手段として懲戒制度を利用しようとする人間が生じる可能性が高まったことは事実ではないかと思われます。

 そしてその原因を作ったのは、橋下弁護士に他ならないと考えざるを得ません。

 今回の懲戒請求が、17日にまとめて提出されたのかどうかは必ずしも明確ではありませんが(記事によればそう読めます)、橋下弁護士のテレビ発言以前には、直接的な利害関係のない多数の集団が特定の弁護士の懲戒を請求をするということは誰も思いつかなかったのではないかと思います。

 今後さらに弁護士の活動領域は増えていくと思われますが、その領域のほとんどは利害関係の対立するいわば修羅場への介入だと思われますので、当然対立する個人または陣営が存在する場合が多く、対立当事者らが多数の懲戒請求を行って弁護士に対抗しようとすることが予想されます。
 そうなるとその反動として、請求された弁護士から請求者に対する損害賠償請求さらには刑事告訴を行う場合が増えてくるかも知れません。

 このような事態は、紛争を無用に紛糾・複雑化させるものであり(つまり泥仕合になる)、懲戒制度の濫用が懸念されるところです。

 あらためて橋下弁護士の懲戒扇動の罪の大きさを感じます。
 そしてその罪は、橋下弁護士自身が多数の懲戒請求を受けたからと言っていささかも減じるものではないと考えます。

「・・・私の政治活動に対する重大な挑戦であり、刑事弁護人の正義のみを絶対視する狂信的な行為」とコメントした。

 じゃあ、あんたの懲戒扇動発言はなんだったんだよ、と言いたいところです。
モトケン (2007年12月18日 00:22) | コメント(96) | トラックバック(5) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:橋下弁護士の懲戒請求350人 (続報追記) – 元検弁護士のつぶやき

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「被告の権利を守るため、やむを得ず欠席したもので、引き延ばしなどの不当な目的はなかった」という点は理解<元検弁護士のつぶやき>



安田弁護士懲戒せず

光市母子殺害事件の安田弁護士懲戒せず…第2東京弁護士会(2007年12月22日3時6分 読売新聞)

 関係者によると、第2東京弁護士会の綱紀委員会は「模擬裁判のリハーサルと重なることを欠席の理由の一つにしたのは妥当ではなかった」としながらも、「被告の権利を守るため、やむを得ず欠席したもので、引き延ばしなどの不当な目的はなかった」と議決。これを受け、同弁護士会は懲戒せずの決定を下した。

 いずれもっと詳細なソースが明らかになると思いますが、上記の範囲で言えば

 「模擬裁判のリハーサルと重なることを欠席の理由の一つにしたのは妥当ではなかった」というのは全くそのとおりで、リハーサルを欠席の理由としてあげたことがこれを聞いた多くの人に重大な誤解を生じさせ問題を複雑化させたと思います。
 今年のワーストKY発言です。

 私も現時点では「被告の権利を守るため、やむを得ず欠席したもので、引き延ばしなどの不当な目的はなかった」という点は理解することができます。
 最高裁が死刑を自判する可能性がたとえわずかでもあったとすれば(事実上はほとんどなかったと思いますが)、被告人の主張を尽くす機会を確保するためという主張は理解できますし、少なくとも差戻審の審理を見る限り安田弁護士が主導している弁護団に訴訟引き伸ばしの姿勢はまったく認められません。

 但し、「刑事裁判と被告人の納得(光市母子殺害事件から)」で既に述べていますが、被告人の主張・弁解については、最高裁にいくまでに、つまり1審や控訴審で出し尽くし審理を尽くしていなければならなかったはずです。
 まあ、結果論の部分もあり、1、2審の弁護人の弁護方針がその時点において間違った判断だったと断言はできませんが、1、2審の弁護方針に起因する問題を安田弁護士の責任として問うことは的外れなところがあると思います。

 がしかし、ドタキャンを回避することは不可能ではなかったのではないかという思いは残っています。
 そして、できればドタキャンはしてほしくなかったという思いが強いです。
 ドタキャンによって、いわゆる世間の刑事弁護に対する(誤った)印象が強くなったのは事実であると思いますので。
モトケン (2007年12月22日 10:46) | コメント(16) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:安田弁護士懲戒せず – 元検弁護士のつぶやき

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