「刑事裁判」タグアーカイブ

まずは、騒動になったその場で、感情をむき出しにして、徹底的に怒ったほうがよいでしょう。/弁護士野澤隆-プレジデントオンライン

■99%有罪!正義などない

万が一、電車で痴漢をしていないにもかかわらず、痴漢をしたと糾弾されたとき、どうすればよいのでしょうか。

あくまで私見になりますが、一番おすすめできないのは、公開の法廷の場で徹底的に無罪を主張して戦うことです。あなたは、有罪率99%とも言われる裁判で「絶対に痴漢をしていない証拠」を示す必要があります。また、起訴後も身柄拘束されているとなれば、裁判の結果が出るまでの長期間、会社勤めもできず、社会的に抹殺されてしまうことも多いのです。冤罪が証明されると大々的に報道されることも多々あるので、戦ったほうがいいと思っている人もいますが、痴漢冤罪に関して、正義はないと考えてください。

では、どうすればよいか。

まず、確率論から導き出される合理的な結論の1つに「その場から走って逃げる」というものがあります。あなたがどう抗弁しようと、自分が痴漢でないと証明するのは極めて困難です。逃げて警察に捕まる確率から考えても、その選択肢が一定の説得力を持っているのは間違いありません。

しかし、逃げられない場合はどうすればよいのでしょうか。

まずは、騒動になったその場で、感情をむき出しにして、徹底的に怒ったほうがよいでしょう。

最大のリスクは第三者による証言が出てくることです。特に利害関係もない男性が「この人、お尻を触っていました」と証言されると決定的な証拠になってしまいます。そこで、怒鳴り散らすなりしながら「俺はやっていない。何を言っているんだ、こいつ」という態度を取り続ける必要があります。この人に関わったら面倒なことが起きると考えれば、大抵の人は、ここで騒動から回避する行動を取ります。

警察官が呼ばれた段階でやってはならないことは、警察署への任意同行に最初から黙って従うことです。警察署へ行ってから容疑を否認し続けると、1週間から10日間程度拘束されることはよくあります。この間は仕事に行くことはできないので大変なことになります。会社にバレたらクビを覚悟しなければならず、ここからはギリギリの戦いが始まります。

痴漢容疑で拘束されたら、まずは弁護士を呼ぶことです。そして、弁護士から家族に連絡してもらい、家族から会社に「急病で倒れたので、有休を使わせていただくようお願いします」と手配します。同僚から「お見舞いに行きたいので入院先を教えてくれ」などと言われても、家族を通じ「絶対安静、面会できない」などと話してもらい、上手にお茶を濁します。

そして、逮捕から10日程度以内に、被害者に連絡を取って事件の解決を図ります。これを過ぎると有休を使い果たしてしまい、会社にバレる可能性が高まります。ここで無駄に完全否認の形を取り続けると、逃亡または罪証隠滅の恐れがあるということで、最大で23日間も拘束されてしまいます。

冤罪事件であるにもかかわらず、なぜ示談する必要があるのかにつき依頼者である被疑者としては釈然としない点が多いのは理解したうえで、依頼者に認めさせる内容は「意図的に触ったのではなく、あくまでも触れただけ」とすることがポイントです。つまり、故意のわいせつ罪ではなく、あくまでも「過失に基づく損害賠償」の形で事件を終わらせるのです。そして、被害者とやり取りする書類上は単に「損害賠償金○○万円」とし、被害者の方に「寛大な処分でかまわない」という旨の記載がある書類にサインをしてもらいます。被害者も最初のうちは怒っていますが、最後はお金で折り合いをつけようとする方も多いのです。こうして示談を成立させ、担当検事に「玉虫色だけど、示談が成立したし、故意のわいせつ罪で無駄に法廷で争われるより不起訴処分のほうが楽だよ」という形で処理させるのです。

とにかく捕まった以上は、ほぼ100%有罪になることを覚悟し、グレーの決着を目指すべきです。私の知る限りでも多くの人が、痴漢で捕まっても会社にバレずに通常の市民生活に戻っています。

(弁護士 野澤 隆 構成=渡瀬裕哉 撮影=坂本道浩)

引用:痴漢冤罪「この人です!」と騒がれたら、まず何をするか(プレジデントオンライン) – ライフ – livedoor ニュース

あくまで私見になりますが、一番おすすめできないのは、公開の法廷の場で徹底的に無罪を主張して戦うことです。/弁護士野澤隆-プレジデントオンライン

■99%有罪!正義などない

万が一、電車で痴漢をしていないにもかかわらず、痴漢をしたと糾弾されたとき、どうすればよいのでしょうか。

あくまで私見になりますが、一番おすすめできないのは、公開の法廷の場で徹底的に無罪を主張して戦うことです。あなたは、有罪率99%とも言われる裁判で「絶対に痴漢をしていない証拠」を示す必要があります。また、起訴後も身柄拘束されているとなれば、裁判の結果が出るまでの長期間、会社勤めもできず、社会的に抹殺されてしまうことも多いのです。冤罪が証明されると大々的に報道されることも多々あるので、戦ったほうがいいと思っている人もいますが、痴漢冤罪に関して、正義はないと考えてください。

では、どうすればよいか。

まず、確率論から導き出される合理的な結論の1つに「その場から走って逃げる」というものがあります。あなたがどう抗弁しようと、自分が痴漢でないと証明するのは極めて困難です。逃げて警察に捕まる確率から考えても、その選択肢が一定の説得力を持っているのは間違いありません。

しかし、逃げられない場合はどうすればよいのでしょうか。

まずは、騒動になったその場で、感情をむき出しにして、徹底的に怒ったほうがよいでしょう。

最大のリスクは第三者による証言が出てくることです。特に利害関係もない男性が「この人、お尻を触っていました」と証言されると決定的な証拠になってしまいます。そこで、怒鳴り散らすなりしながら「俺はやっていない。何を言っているんだ、こいつ」という態度を取り続ける必要があります。この人に関わったら面倒なことが起きると考えれば、大抵の人は、ここで騒動から回避する行動を取ります。

警察官が呼ばれた段階でやってはならないことは、警察署への任意同行に最初から黙って従うことです。警察署へ行ってから容疑を否認し続けると、1週間から10日間程度拘束されることはよくあります。この間は仕事に行くことはできないので大変なことになります。会社にバレたらクビを覚悟しなければならず、ここからはギリギリの戦いが始まります。

痴漢容疑で拘束されたら、まずは弁護士を呼ぶことです。そして、弁護士から家族に連絡してもらい、家族から会社に「急病で倒れたので、有休を使わせていただくようお願いします」と手配します。同僚から「お見舞いに行きたいので入院先を教えてくれ」などと言われても、家族を通じ「絶対安静、面会できない」などと話してもらい、上手にお茶を濁します。

そして、逮捕から10日程度以内に、被害者に連絡を取って事件の解決を図ります。これを過ぎると有休を使い果たしてしまい、会社にバレる可能性が高まります。ここで無駄に完全否認の形を取り続けると、逃亡または罪証隠滅の恐れがあるということで、最大で23日間も拘束されてしまいます。

冤罪事件であるにもかかわらず、なぜ示談する必要があるのかにつき依頼者である被疑者としては釈然としない点が多いのは理解したうえで、依頼者に認めさせる内容は「意図的に触ったのではなく、あくまでも触れただけ」とすることがポイントです。つまり、故意のわいせつ罪ではなく、あくまでも「過失に基づく損害賠償」の形で事件を終わらせるのです。そして、被害者とやり取りする書類上は単に「損害賠償金○○万円」とし、被害者の方に「寛大な処分でかまわない」という旨の記載がある書類にサインをしてもらいます。被害者も最初のうちは怒っていますが、最後はお金で折り合いをつけようとする方も多いのです。こうして示談を成立させ、担当検事に「玉虫色だけど、示談が成立したし、故意のわいせつ罪で無駄に法廷で争われるより不起訴処分のほうが楽だよ」という形で処理させるのです。

とにかく捕まった以上は、ほぼ100%有罪になることを覚悟し、グレーの決着を目指すべきです。私の知る限りでも多くの人が、痴漢で捕まっても会社にバレずに通常の市民生活に戻っています。

(弁護士 野澤 隆 構成=渡瀬裕哉 撮影=坂本道浩)

引用:痴漢冤罪「この人です!」と騒がれたら、まず何をするか(プレジデントオンライン) – ライフ – livedoor ニュース

求刑どおりというのも分かる気がします。<元検弁護士のつぶやき>

求刑どおりの実刑判決

「下手な芝居やめろ」と裁判長が一喝 生活保護費詐取に懲役4年

 全盲の視力障害1級を装って生活保護費の加算金など計約540万円相当を不正受給したとして、詐欺罪に問われた無職、丸山伸一被告(51)に対し、札幌地裁は6日、求刑通り懲役4年の判決を言い渡した。

 求刑どおりの判決です。
 一般的には、初犯ならという条件つきですが、被害金額約540万円の詐欺で懲役4年の求刑自体が少し重いかなと感じましたが

 判決理由で嶋原文雄裁判長は「視力障害1級の認定後に運転免許を更新するなど日常生活に支障のない視力があった。福祉を食い物にした」と批判。法廷でよろけるなどあくまで全盲として振る舞う丸山被告に対し、最後に「下手な芝居はやめなさい」と一喝した。

 求刑どおりというのも分かる気がします。

 捜査段階では容疑を認めていたそうですから、全盲でないことについては、免許更新以外にもそれなりの裏付け証拠があると思います。
 にもかかわらず法廷で猿芝居をしたということになれば、反省の念まったくなし、再犯の恐れ極めて大ということになって、情状的には最悪ですね。

 求刑どおりの判決というのはあんまりないんですよ。
モトケン (2008年11月 6日 14:02) | コメント(18) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top) 引用:求刑どおりの実刑判決 – 元検弁護士のつぶやき

被害者とその家族の人生が破壊されるおそれがあることを考えますと実刑で当然<元検弁護士のつぶやき>

痴漢虚偽告訴の男に実刑ですが

交際女と共謀、痴漢虚偽告訴の元甲南大生に実刑(2008年10月24日15時58分 読売新聞)

 懲役5年6月(求刑・懲役8年)の実刑判決

とのことですが

 判決によると、蒔田被告は交際していた女と共謀。2月、女が市営地下鉄御堂筋線の車内で乗客の男性(59)に触られたとの被害をでっち上げたほか、1月には、女がインターネットの出会い系サイトで誘い出した別の男性に「おれの女に手を出しやがって」と顔などを殴り、金を奪おうとするなどした。

 強盗未遂込みの量刑ですので、虚偽告訴だけだったら実刑だったろうか、という点が気になります。

 被害者が逮捕されただけでも被害者とその家族の人生が破壊されるおそれがあることを考えますと実刑で当然という気がしますが、速やかに自白して被害を最小限に抑えていれば情状を考慮してもいいかな、という感じです。
モトケン (2008年10月24日 17:00) | コメント(6) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top) 引用:痴漢虚偽告訴の男に実刑ですが – 元検弁護士のつぶやき

主催した裁判所においては、この点についての分析検討を行って<元検弁護士のつぶやき>

模擬裁判で結論が分かれることについて

「模擬」判決分かれる(毎日新聞 2008年9月30日 21時37分)

 正当防衛や過剰防衛が認められるかどうかが争われた架空の傷害致死事件を題材にした裁判員制度の模擬裁判が29、30の両日、東京地裁で実施された。4グループに分かれて審理した結果、3グループは正当防衛や過剰防衛を認めなかったが、1グループだけが過剰防衛が成立するとして刑を減軽し、判断が分かれた。

 上記が毎日の記事の冒頭の一文であり、見出しも「判決分かれる」としていますから、記者(及び編集者)が、判決が分かれたことに注目していることは分かりますが、この記事だけからは、その点についてどう評価しているかはよく分かりません。

 素人の皆さんから見れば、同じ事件の判決が裁判所の構成メンバーが変わることによって結論が異なることについて、かなりの違和感があるかも知れないなと想像しています。
 法律家的には、それ自体が当然の現象であるとまでは言うべきではないかも知れませんが(判断の客観性に問題があることになります)、司法制度としては、当然想定している事態(現実問題として完全な客観性を確保することが困難)であると考えています。
 ということを認めてしまいますと、裁判所の構成メンバーを選べない被告人としては、運不運によって量刑が変わることがあることを認めることになってしまうわけですが、運不運の要素は否定できないとしても、できる限り少ないほうがよいことは間違いないだろうと思います。

 そうすると、この模擬裁判で判決内容がことなる結果になった要因としてはどのようなものがあるのだろうか、ということが気になってきます。
 模擬裁判を主催した裁判所においては、この点についての分析検討を行っているのでしょうか?
 仮にの話ですが、評議における裁判長の誘導に原因があったりしたら、少なくとも裁判員制度を採用した趣旨からすれば問題があることになるのではなかろうかと思います。
 他の要因があるとしたら、それが望ましいものか望ましくないものかを検討して、望ましくないのであれば改善の必要が生じます。
モトケン (2008年10月 1日 09:34) | コメント(10) | トラックバック(1) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top) 引用:模擬裁判で結論が分かれることについて – 元検弁護士のつぶやき

検挙された1件に対して厳罰をもって望むことは十分合理性があります<元検弁護士のつぶやき>

掲示板のおふざけ殺害予告に懲役1年6月求刑は重いか?

「小女子焼き殺す」殺害予告で懲役1年6月求刑(ヤフーニュース 9月24日16時44分配信 産経新聞 ウェブ魚拓)

 被告人の真意はタイトルどおり「おふざけ」だったと思いますが、被告人質問のやりとりからするとかなり人格的に問題がありそうです。

 それはともかく

 私が興味を引かれたのはこのニュースについてのはてなブックマークのコメントです。

 http://b.hatena.ne.jp/entry/http%3a//headlines.yahoo.co.jp/hl%3fa=20080924-00000553-san-soci

 標準的はてなユーザーと標準的裁判員候補者の感覚的違いがどの程度あるかはよく分かりませんが、そういう観点で見るとなかなか興味深いです。
 個人的には実刑でもいいと思いますが。

 ちなみに、はてブに引用されている被告人による掲示板の書き込みの内容は以下のとおりです。
 http://mimizun.com/search/perl/dattohtml.pl?http://mimizun.com/log/2ch/heaven4vip/yutori.2ch.net/heaven4vip/kako/1214/12147/1214732232.dat

 参考サイトをもう一つ
 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1177501.html

追記
 はてブコメントに

 一罰百戒なんて言葉を民主主義社会で軽軽しく使うな

というのがありましたが、一罰百戒という言葉をどう理解しいるんでしょう?

 たぶん、コメントした人は今回の事件をものすごく軽々しく考えてるんじゃないかな、と思います。

 ちなみに、過去にこんなエントリを書いています。
 「ライブドア摘発と一罰百戒」

 100件(1000件でも10000件でも同じ)の殺人予告のうち、1件でも実行されたら、実行されない全ての殺人予告も、現実的危険性のある殺人予告としての意味を持ちます。
 つまり、深刻な不安感や恐怖感の原因となります。
 秋葉原事件によって、すでに1件実行されてます。
 一罰百戒の逆の現象が生じていることになります。

 そのような状況で同種事犯の防止効果を最大限に発揮させるためには、検挙された1件に対して厳罰をもって望むことは十分合理性がありますし、それを強調して周知させることが必要です。
 民主主義社会においてもです。
モトケン (2008年9月28日 13:54) | コメント(176) | トラックバック(2) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top) 引用:掲示板のおふざけ殺害予告に懲役1年6月求刑は重いか? – 元検弁護士のつぶやき

本当はもっと本質的な背景事情を明らかにする必要があると<元検弁護士のつぶやき>

福岡小1殺害事件続報

「もうどうでもいいやと犯行」 福岡・男児殺害容疑の母(asahi.com 2008年9月27日20時1分)

 弁護人からの情報のようですが、今回は弁護人のマスコミ対応についてというような観点は横に置いて書きます。

 県警も、薫容疑者が弁護人に話した内容をほぼ調べで把握している。が、薫容疑者の供述にはあいまいな点もあるという。公園に行って間もないうちに殺害したとみられることから、計画性の有無について慎重に調べている。

 県警の言う「計画性の有無」というのは、要するに殺意の発生時期のことです。
 殺意が公園に行く前に発生していたら計画性があったと言って妨げないと思いますが、しかし本件のような経緯の事件について、数時間または数日間というスパンで事前の殺意の発生を論じても意味がないように思います。

 同じような事件が起きないようにするためには、本当はもっと本質的な背景事情を明らかにする必要があると思うのですが、事件当時の状況を中心に取調べによって供述を得てその裏付けを取るという警察捜査の基本的なやり方としては限界があるだろうと思います(この種の事案の検察捜査としても変わりませんけど)。

 しかし、マスコミとしては警察情報におんぶにだっこでその限界の中で報道しなければならないということはないはずです。
 もっとも、この記事は弁護人情報に基づいて事件の性格をかなり出そうとしているようですが、
 毎度おなじみの「計画性の有無について慎重に調べている。」というような紋切り型報道じゃなくて、もう少し記者独自の視点があってもいいんじゃないかと思います。

 しかし

 薫容疑者は弁護人に、家族3人で昨年、沖縄に旅行した思い出などを語った。「弘輝の声が聞こえる。弘輝のところにいかないと」

 これには涙が出ました。

 ですが、最後にここで弁護人視点を持ち出しますと、裁判員制度における弁護人のマスコミ対応というものを考えさせられる弁護人からの情報提供事例ではあります。
 この記事によって、真相に近いか遠いか分からない予断を抱いている自分が自覚されます。
モトケン (2008年9月28日 12:31) | コメント(26) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top) 引用:福岡小1殺害事件続報 – 元検弁護士のつぶやき

大谷昭宏氏の大野病院判決批判について<元検弁護士のつぶやき>


大谷昭宏氏の大野病院判決批判について

 curiousjudgeのつぶやき経由で知りました。

 傲慢裁判官よ、畏れを抱け(大谷昭宏事務所)

 一読した印象として、

 これが有名なジャーナリストの裁判制度についての理解なのか!?

 という驚きを感じるとともに、

 これほど見事なブーメランも最近珍しい。

 と思っています。

 ちなみに、このエントリのカテゴリは、マスコミ問題にしました。

すぐに追記

だからと言って、プロが何十年と培ってきた知識や技術を2年半で理解するというのは土台無理な話なのだ。

 要するに、大谷氏は、医療事故に対しては、警察や被害者側弁護士を含めて司法は口を出すな、と言っているように読めます。

 そもそも患者の脈や血圧を計った経験のある判事は一体、何人いるのか。

 噴き出すのぐっとこらえて、人を殺したことのない裁判官は殺人事件の審理をしてはいけないのだろうか?という疑問を呈するのは揚げ足取りだろうか?
モトケン (2008年9月13日 17:29) | コメント(51) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:大谷昭宏氏の大野病院判決批判について – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

いずれにしても被告人から見て味方はいないという状況です<元検弁護士のつぶやき>

 初めて読んだ記事のように思いました。コメント禁止にされる前のエントリのはずですが、自分のコメントもないようです。


検察側が自白調書撤回

 これまで何度か紹介していますが、有力な弁護士ブロガーの一人の落合弁護士は私と同じヤメ検ですので、特に刑事事件については感覚に似たようなところがあります。
 今回取り上げるのは、「夫バラバラ殺人、検察側が自白調書撤回 東京地裁 歌織被告は任意性否定 」です。

 落合弁護士は中日新聞の記事を以下のように引用されています。

検察側は「犯罪事実は被告人質問で十分立証できた」として、証拠請求していた捜査段階の被告の自白調書などを撤回した。検察側が被告の供述調書の請求を取り下げるのは極めて異例。裁判員制度を意識し、裁判の迅速化を図る目的とみられ、今後、同様のケースが続くとみられる。 一方、歌織被告は被告人質問で「警察官や検察官の取り調べで、怒鳴られたり脅されたりして、不本意な調書を作られた」と述べ、供述が任意ではなかったと主張。取り調べの際に検察官から「風俗で働いていた。犬畜生と同じだ。おまえの事件なんて、どうせ男とカネなんだろ」などとののしられたと述べた。検察官の作成した調書の内容を否定し続けると、以前中絶した時の胎児のエコー写真を机の上に並べられて「法廷でこの写真を出していいのかと脅された」と訴えた。

 検事の取調べ状況に関する被告人の供述に関するさらに詳細な報道として産経ニュースがあります。

 歌織被告「検事は『風俗なんかで働いていた汚い奴め、お前は犬畜生と一緒で生きている価値がない。お前の刑を決めるのはおれだ。おれの前で頭を下げてみろ』と、そういうことを言われ続けた。それに対し、私が『違う』とずっと言い続けていると、終いには私が以前に堕ろした子供のエコー写真を並べて、『法廷でこの写真を出されてもいいのか。法廷でマスコミの前に出してやるからな』と言われた」

 産経ニュースを流し読みした限りにおいて、検察官はこの被告人の供述に対して何の反対質問もしないで被告人質問を終わらせています。

 そうなりますと

 自白調書の任意性を争われ、その理由を具体的に述べられた後に、検察官が請求を撤回すれば、やはり任意性に問題がある自白調書だったから、という印象を裁判所に与える可能性が高いように思います。(落合ブログ)

 となるのは自然な流れだろうと思います。
 私も、被告人が言うような取調べを検事がした可能性が高いな、と思います。
 落合弁護士は「裁判所に」と書いていますが、裁判員裁判が始まれば当然「裁判所」の中には裁判員が含まれてきます。
 産経のような法廷のやりとりを詳細に報じるメディアによって、国民の多くにも同様の印象を与える可能性が生じてくるでしょう。
 そしてその中から別の事件の裁判の裁判員が選任されてくることになります。
 検察はその点をどう考えているのでしょうか。

 最近、公判担当の検事(公判部の検事)と話をしますと、裁判員裁判に向けての準備やトレーニングをかなりやっている感じがします。
 しかし、捜査部(刑事部など)の検事がどう考えているのかについて、今回の被告人質問ははなはだ疑問を抱かせます。

 はっきり言いまして、取り調べ検事が報道されたような言動を実際にしたのであれば、検事の取調べとして最低です。
 検事としての適格性がないと言ってもいいです。
 被疑者を侮辱し、恫喝することによって真実を語らせることができると思っているとしたら、極めて危険なことです。
 そのような検事は冤罪の山を築く可能性があります。

 取調室というのは密室です。今のところは。
 検事と立会事務官と被疑者しかいません。
 被疑者を連れてくる警察官もいるのが普通ですが、検事が指示すれば退席させることも可能なはずです。
 いずれにしても被告人から見て味方はいないという状況です。

 こういう部屋で取り調べをしていますと、「俺が一番偉いんだ。俺はこの部屋では何を言ってもかまわないんだ。俺が想定している事実を語らせればいいんだ。俺の書く調書に署名させればいいんだ。」と思ってしまう検事がいても不思議はありません。
 被告人の供述の中の検事はまさしくそういう検事です。

 もちろん、被告人を取り調べた検事が被告人が供述したような取調べをしたのかどうかについては断定することができる資料を持っていません。
 上司は担当検事本人に問いただしているかも知れませんが。

 しかし、問題は、裁判官、裁判員、報道を読んだ国民(裁判員予備軍)が被告人の話を信用するかどうかです。(※)

 さて、産経の記事を読んだ皆さんはどう思われたでしょうか。
 こういう調べが行われた可能性はあるな、と思った人がかなりいるのではないかと想像しています。

 つまり、取調べ検事としては、自分が取り調べた被疑者に、法廷でこんなこと(一般論的には任意性や信用性に疑問を生じさせるような内容)を口にさせるような取調べをしてはいけないのです。

 取調室は密室かも知れません。
 しかし、検事が取調室で発した言葉は、すべて被告人の口によって法廷で語られる可能性があるのです。
 ですから、こんな取調べは絶対にしてはいけないのです。
 ここまでひどくなくても、被告人に誇張されたり揚げ足をとられるような調べをしてはいけないのです。
 
 このように言うと、一部の若手検事から、「じゃあ、どうすればいいんだ。」という声が聞こえてきそうですが、そういう検事は落合弁護士のブログを読んで「人間力」というのはどういうことなのかということを自分で考えていただきたいと思います。
 私が任官した直後に、厳しい取調べをすることで有名な検事ほど任意性を争われない、という話を聞いたことがあります。
 これだけ書くと誤解が生じそうですが、要するに、検事に被疑者を納得させる力があるかどうかだと思います。

(※)
 まったく任意性に問題がない取調べをしたとしても、被告人が嘘八百をでっちあげて任意性を争う可能性はあります。
 今回の事件で検察官が被告人調書の請求を撤回したことを知った別事件の被告人の中には、ともかくひどい取調べを受けたと法廷で言えば自白調書をちゃらにできると考える者が出てきても不思議はありません。
 そうなると、取調べの可視化が一気に加速するのではないでしょうか。
 いずれにしても、まともな調べをすることが大前提ですが。
モトケン (2008年2月14日 17:22) | コメント(30) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:検察側が自白調書撤回 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

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送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

弁護側の主張を認めて「日比野さんが死亡2日前、走行中の車から飛び降りた 際、頭を打って頭蓋内出血が生じた可能性がないと言い切るのは


京都新聞 2月1日(金)23時9分配信
 京都府八幡市のスーパー駐車場で2011年8月、軽乗用車から岐阜県瑞浪市の無職日比野茜さん=当時(34)=の遺体が見つかった事件で、傷害致死と死体遺棄の罪に問われた交際相手の無職長沼勇也被告(24)の裁判員裁判の判決が1日、京都地裁であった。市川太志裁判長は、「被告の暴行で死亡したと認めるには合理的な疑いが残る」とし、傷害致死罪は無罪とした。死体遺棄罪の成立は認め、懲役1年6月、執行猶予4年を言い渡した。検察側は懲役7年を求刑していた。
 市川裁判長は、日比野さんが頭蓋(ずがい)内出血で死亡したと認定。一方で、「突き飛ばした時、日比野さんが浴槽に頭を打ったのを見た」とする警察官作成の長沼被告の供述調書に対し、取り調べ内容を記録したメモが廃棄され、やりとりを検証できないと指摘し、信用性を否定した。
 その上で、弁護側の主張を認めて「日比野さんが死亡2日前、走行中の車から飛び降りた際、頭を打って頭蓋内出血が生じた可能性がないと言い切るのは困難」とした。
 判決によると、長沼被告は11年7月1日、大阪府豊中市内で日比野さんが死亡しているのに気付いたが、8月20日までの間、八幡市内で遺体を車内に放置した。
 京都地検の中田和範次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントした。

傷害致死は無罪判決 八幡遺体遺棄 京都地裁、供述信用性否定 (京都新聞) – Yahoo!ニュース