容疑者の家族の生活が、それを暴き立てようとする人達によって壊れたとして、世間はその罪までもを含めて、犯罪者に押し付けようとする。しかし、容疑者家族の苦痛は、その容疑者自身ではなく、容疑者家族を吊るし上げる人たちによって与えられた苦痛である。それを容疑者の責任に帰すことは本当に真っ当であろうか?
そして、そうした苦痛を、私達が受けることが決してないと言えるだろうか? 自分たちの家族や親類縁者が、絶対に犯罪を犯さないとでも?
もっと単純な話をすれば、たとえ親類縁者が犯罪を犯さなくても、世の中には「同じ名字である」とか「いかにもそれっぽい」という理由で、犯罪者やその親類縁者として吊るしあげられる事例がある。
たとえば、お笑い芸人のスマイリーキクチ氏は、10年以上もネット上で東京都足立区で発生した女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人のひとりという誹謗中傷を受け続けた。
また、北海道の不動産会社は、事件の容疑者と犯人が苗字が同じだったというだけで、事実無根の誹謗中傷を受け、いたずら電話なども殺到した。
僕が「お前が被害にあったらどうするんだ!」という論を認めないのは、確率論的に考えて、自分やその家族が誰かに殺される可能性よりも、「犯人を絶対にゆるさない!」と考えている正義の人たちから、全く見知らぬ犯罪などにより、自分が誹謗中傷される可能性のほうがはるかに高いと考えるからだ。
引用:殺人よりも、正義の妄言がより多くの人を傷つける
ネット上の書き込み問題に詳しい深澤諭史弁護士は、少年事件にもかかわらず「個人の名誉に関わる情報があまりに気軽に書き込まれている」と話す。「この事件と関係の無い人物を犯人と名指しした場合、関係者が訴えれば書き込んだ本人、情報をまとめた人物がプライバシー侵害や名誉毀損に当たる可能性がある。仮に事実であったとしても(加害少年の特定につながる実名などの報道を禁止する)少年法の条項もあり、ネット上だけ実名でいいということにはならない」と説明。さらに「自分が直接書き込まず、コピーやリンクしただけであったとしても名誉毀損に当たるリスクは残る」と指摘する。
事件に関して真偽不確かな情報が際限なく広がっていくネットの世界。対策はあるのか。深澤弁護士は「ネット上で『殺す』『爆破する』という書き込みが大幅に減ってきた。関係機関が取り締まってきたからだ。表現の自由は大事だが、無制限ではない。犯罪を憎むという感情は正しいと思うが、それでネット上に『さらす』行為を正当化することはできない。リスクがある行為だと繰り返し伝えていく必要がある」と話している。【石戸諭/デジタル報道センター】
引用:川崎中1殺害:ネットに「容疑者」情報…名誉毀損の可能性 – 毎日新聞
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