「落合洋司弁護士(東京弁護士会)」タグアーカイブ

暴走し始めると歯止めが効かなくなってしまう。虚偽自白が生み出されると、嘘 が嘘を呼び、嘘の上に嘘が築かれる、ということになりやすい。密室での取調 べ /落合洋司弁護士



4 結局、取調べの実態はどういうものなのか?(現状のままで改善の余地はあるのか?)

取調べの実態は、上記のようなもので、危険性を大きく持っており、密室で行われる限り、取調官の全面的な裁量、コントロール下で行われるだけに、一旦、暴走し始めると歯止めが効かなくなってしまう。虚偽自白が生み出されると、嘘が嘘を呼び、嘘の上に嘘が築かれる、ということになりやすい。密室での取調べが行われるままでは、そういう事態を阻止するのは極めて困難。

引用:2013-03-26 – 弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」

落合洋司弁護士(東京弁護士会)は、はてなダイアリー(Hatena::Diary)の設定をブログモードではなく、日記モードにしているためと思われますが、エントリ(記事)のタイトルが取得できないです。タイトルは次のようになっています。

[セミナー・シンポ]なぜ無実なのに「自白」してしまうのか 遠隔操作事件「誤認逮捕」の弁護人が解説

Twitter / yjochi: 福井の女子中学生殺人事件は、再審決定を読んで、再審決定として …

Twitter / yjochi: 福井の女子中学生殺人事件は、再審決定を読んで、再審決定として …

福井の女子中学生殺人事件は、再審決定を読んで、再審決定としては脆弱なものがあるという印象があった。裁判所による、決定を書くにあたっての苦心のあとがありありと感じられただけに。再審で救済されるべき事件、とは思うが、元々の証拠構造との関係で、難しさがある。

— 落合洋司さん (@yjochi) 2013年3月6日

Twitter / yjochi: 弁護士に、房から出るな、と言われても、あの検事さんに呼ばれた …

Twitter / yjochi: 弁護士に、房から出るな、と言われても、あの検事さんに呼ばれた …

弁護士に、房から出るな、と言われても、あの検事さんに呼ばれたら調べには応じます、と被疑者がやってくるようでないと駄目だろう。

— 落合洋司さん (@yjochi) 2013年3月6日

Twitter / yjochi: 今ではしがない弁護士になっているが、良い取調べをしようと、考 …

Twitter / yjochi: 今ではしがない弁護士になっているが、良い取調べをしようと、考 …

今ではしがない弁護士になっているが、良い取調べをしようと、考えたり工夫していた昔が思い出されるな。
— 落合洋司さん (@yjochi) 2013年3月6日

冤罪の構図がいまだに存在することを実証したものといえます。<元検弁護士の つぶやき>



鹿児島県警、ウソの供述を強要

鹿児島県警、ウソの供述を強要 県議選違反事件(asahi.com 2006年01月05日05時57分)

 この事件については落合先生が「日々是好日」で適切な分析をされているのでほとんど付け加えることがないのですが、私なりに感想めいたものを書くことにします。

 報道によれば、県警が作成した事件チャート図が流出していたり、捜査関係者の一人は取材に対し、この男性らを容疑者に仕立てようとしたことを認めていたり、かなり異例な感じがします。

 取材に応じた捜査関係者というのは相当ばか正直な人なのかな、と一瞬思いましたが、県警内部の出世争いが背景にあるのかな、という深読みの可能性もありかもしれません。
 つまり、足の引っ張り合いですね。
 あくまで憶測です。

 落合先生は知能犯捜査における筋読みを言われていますが(私も全く同感ですが)、ことは知能犯捜査に限らず、強行犯捜査(例えば、犯人不明の殺人事件など)にも同様のことが言えます。

 今回の事件は、警察が、自己の描いた筋を反省することなく、証拠を間違った筋に合わせようとすることがある、つまり虚偽自白を強要することが最近でもあるということを証明したものであり、冤罪の構図がいまだに存在することを実証したものといえます。
モトケン (2006年1月 5日 11:59) | コメント(3) | トラックバック(2) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)
トラックバック(2)
ろーやーずくらぶ – 鹿児島県議選公選法違反事件 (2006年1月 5日 16:14)

 「踏み字」事件と呼ばれるような違法な自白強要のあった事件ですが、立件を見送られた被疑者についても、虚偽自白を強要していたことが明らかになりました。朝日新… 続きを読む
kojのとりあえず日記 – [本]冤罪の構図 新風舎文庫 江川 紹子 (著) (2006年3月 5日 23:47)

なぜ僕はこの本を読むことにしたのか…ぜんぜん思い出せない。 あ、今思い出した。たぶん、前に読もうと思ってamazon.co.jpのウィッシュリスト… 続きを読む
コメント(3)
No.1 y_okamura さん | 2006年1月 5日 14:25

私は,当番弁護士から拘わりましたから,冤罪であることは,初回接見でわかりました。
担当検事にも,田舎警察を信用するなと忠告したのに,馬鹿げた起訴をしてしまいました。
この県議選を,接見国賠とあわせて,恥の上塗り事件と呼んでいます。
No.2 モトケン さん | 2006年1月 5日 16:11

これが例の事件でしたか。
今の公判検事はご苦労なことです。
No.3 paru さん | 2007年2月 2日 02:40

始めてここにきました。

困って検索してました。
鹿児島の某市民病院医療訴訟を思っております。

しかし医療専門の弁護士さんを探せずに今に至ってます。
もし・・・
もし・・・話だけでも聞いてくださる方をご存知ならと投稿しました。

この場をお借りをして申し訳ございません。

引用:鹿児島県警、ウソの供述を強要 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

マスコミの取材を受け、その前に、再審の決定書も一通り読んでみたのですが・・・五分五分 /落合洋司弁護士(東京弁護士会)



2013-02-21
■[刑事事件]再審請求異議審、3月6日に決定 福井女子中学生殺人事件 20:40 再審請求異議審、3月6日に決定 福井女子中学生殺人事件を含むブックマーク 再審請求異議審、3月6日に決定 福井女子中学生殺人事件のブックマークコメントAdd Star

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130220-00000303-fukui-l18

同高裁金沢支部の再審請求審では▽遺体の傷の長さと、確定判決で凶器と認定された2本の包丁の刃幅が合わず、第3の凶器が存在する▽血の付いた前川さんが乗ったとされる乗用車に被害者の血痕がない▽犯行当時は心神耗弱であったとされるが、被害者宅に前川さんの指紋や血の付いた手形痕などがなく、犯行時の冷静さを示す―などの理由から、前川さんを「犯人と認めるには合理的な疑いが生じている」として再審開始を決定した。

異議審で検察側は「いずれも明白性はなく、過大評価している」と指摘。▽傷の長さは計測自体の誤差か、皮膚の収縮によるもの▽日照や清掃により車内の血痕が検出されなかった▽室内に指紋や手形が付かなくても不自然ではない―などと反論した。

弁護側は、再審請求審で新たに開示された関係者調書に供述の変遷があり、しかも変遷の内容が複数の関係者で一致している点に着目。検察側への反論書で「虚偽内容まで一致しており、捜査官の強引な誘導による供述を示す明確な証拠だ」と主張した。

先日、この件についてマスコミの取材を受け、その前に、再審の決定書も一通り読んでみたのですが、取材に対して言ったのは、異議が棄却されるかどうかは、五分五分で、結構微妙なものがあるのではないか、ということでした。

確かに、この事件の有罪判決を支える証拠構造を見ると、上記の記事で紹介されている弁護人の主張のように、複数の関係者の供述には変遷があるものの、元被告人について、犯行直後に身体に血痕が付着した状態にあるのを見た、犯行告白(その評価には確かに微妙さはあるものの)を聞いた等々、犯人性を指し示す間接事実、状況証拠になっていて、強固、とは言えないものの、それなりに有罪認定を支えてはいます。確定判決は、供述の変遷や、客観証拠との食い違いなども考慮しつつ、そういった関係者の供述は、主要部分では符合しており信用できると判断しています。そこを、新規の証拠で合理的な疑いを生ぜしめることができるかどうか、が問われているわけです。

再審決定では、現場で発見された凶器の包丁と創傷が合わず、現場には存在しなかった凶器が使用されたとしますが、そうであるとしても、確定判決で認定された元被告人の犯人性について合理的な疑いを生じさせるかどうか、微妙さがあります。これは、上記の記事でも指摘されていて、再審決定でも指摘されている、確定判決では心神耗弱者による計画性のない衝動的な犯行と認定されているところと本件の実態が合わない、という点にも関わりますが、心神耗弱者による犯行だから計画性がなく衝動的、というものでもなく(例えば、統合失調症で心神耗弱が認定される被告人について、同時に、責任能力が肯定されるにあたり犯行の計画性や冷静さ、犯行後の罪証隠滅行為といったことが指摘されることもあります)、上記のような、脆弱性を抱えるとはいえ相応の有罪の証拠構造は存在する本件で、合理的な疑いを生ぜしめるだけの事情に、それらがなるのか、ということについては、かなりの微妙さがあるのではないかと、私は感じました。異議を認容する、棄却する、どちらでも書ける証拠関係ではないかと思います。あとは裁判所の、全証拠に接した上での心証次第でしょう。

それ故、異議審の結論については予断を許さないものがあり、弁護人としても楽観は禁物ではないか、と見ています。

引用:2013-02-21 – 弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」

送信者 落合洋司弁護士(東京弁護士会)

落合弁護士が語っています(共謀罪)<元検弁護士のつぶやき>



落合弁護士が語っています(共謀罪)

 落合弁護士が東京新聞のインタビューを受けられたようですね。
 相談なしでも摘発(東京新聞特報)

 コメントに値する内容が多い記事ですが、いくつか思いつくままに書いてみます。

落合氏も「将来、裁判所が『必要な準備』には、犯罪に間接的に必要な場合も含むと解釈する可能性が十分ある。相当広範囲なもの、例えば、実行犯に靴や電車賃を貸す行為などが『犯罪に必要な準備』に該当するとされる可能性は十分ある」と話し、拡大適用の防止は条文を厳格にする以外ないと指摘する。「裁判官は条文で考える。付帯決議など、いくら、やっても関係ない」。その裁判官についても「犯罪への危機感を強めており、共謀“らしきもの”まで共謀と認定する流れにある」と指摘する。

 裁判所には、以前から処罰する必要がある場合には少々の手続的違法があっても処罰するという姿勢が感じられます。

共謀罪と似た法律用語に「共謀共同正犯」がある。犯罪を謀議した仲間の誰かが実行行為に踏み切れば、他の仲間は実行しなくても共犯になるものだが、落合氏は、捜査・裁判実務で共謀共同正犯の拡大解釈が進んでいると指摘する。

 共謀共同正犯の拡大適用の傾向も同じ流れだと思います。

 問題は、裁判所のバランス感覚がどこまで又はいつまで信頼できるかだという気がしています。

ところで、捜査現場は共謀罪を必要としているのか。オウム事件捜査などを手がけた落合氏でさえ、必要性は感じなかったという。共謀罪があれば地下鉄サリン事件も防げたのか? 「防げない。事前情報がなかったからだ。逆に情報さえあれば共謀罪なしでも防げた。教団施設への建築基準法違反罪適用など手段はいくらでもある」

 「現在でも、情報さえあれば、犯罪実行前に検挙できている。公安の場合、その当否はともかく、ホテルに偽名で宿泊した、免許証に虚偽が書かれているなど、さまざまな理由を見つけて文書偽造罪、免状不実記載罪などを適用している。共謀罪がないから捜査できない切迫した事情はない」。落合氏は断言する。「組織犯罪は秘密裏に動くから、共謀罪ができても共謀罪で捕まることはないだろう。むしろ、NGOや労組などに使いやすいと思う」

 落合弁護士自身が「その当否はともかく」と指摘されているように、現時点においてもNGOや労組を捜査対象にしようと思えば、軽微な文書偽造罪を適用することは可能であるということは忘れないほうがいいでしょう。
 とは言うものの、如何に軽微とはいえ文書偽造罪を適用するためには文書偽造行為が必要ですから、そのような明確な構成要件該当行為を要求しない共謀罪は、手段的捜査つまり別件逮捕を極めて容易にする法律であることは間違いありません。

「共謀罪は共謀だけで成立するから、ある意味、怖いことだ」と落合氏。「相手が暴力団だから、いいじゃないか」と思うか、「明日はわが身。拡大解釈は危険」と感じるかは国民しだいだが、落合氏は言う。「日本では起訴されなくても逮捕、家宅捜索されるだけで大打撃だ。共謀罪には、起訴に持ち込めない相手を社会的に葬る手段として、十分過ぎる力がある」

 どうも最大の問題はここにあるように思われます。
 実際に危険な犯行を共謀していて、起訴することによって裁判所でそれが確認されるのであれば法適用が正当化されるかもしれませんが、現在の逮捕・勾留に関するルーズな令状実務を前提にしますと、落合弁護士の危惧は極めて深刻なものと受け止めなければなりません。
 起訴されない事件は、裁判所のチェックを受けることがありません。

休日出勤もいとわず、時に千万円単位の私費を使って、数十年がかりで暴力団内部にネタ元を築く刑事たちの中にも共謀罪の弊害を危惧(きぐ)する声がある。

 「自分をさらけ出さなきゃ、ホシ(容疑者)って落ちないんですよ。こっちの人間性を信用したら真実を喋(しゃべ)る。くさいセリフだけど、相手が犯罪者でもハートが勝負。私は、ずっと、このやり方だ。自供したホシに裁判で無罪主張されたり、『刑事に供述を強制された』なんて主張されたことも、一度だってない」

 刑事とは、容疑者や周辺関係者と人間関係を構築する地味でしんどい作業の繰り返しだ。「いったん相談したら、自首しないかぎりは罪になる」と迫る「共謀罪」は裏腹の発想だ。「法案を作った警察庁キャリアは…ああ、作ったのは法務省ですか。じゃあ、法務官僚たちは、現場をご存じないんじゃないでしょうか」。刑事や検事、検察事務官などが私生活を犠牲にして構築してきた捜査手法に、共謀罪がどんな影響を及ぼすのか-こんな重要なことさえ、国会では論議の一つも行われていない。

 暴対法制定当時も似たような議論があったと思います。
 暴対法は暴力団捜査のあり方に大きな影響を与えました。
 共謀罪法案も、単に処罰の範囲を広げるというだけでなく、それに伴って捜査のあり方に重大な影響を生じさせる恐れがあり、濫用適用はまさに捜査段階において問題になりますから、犯罪成立要件としての共謀罪法案の文言の検討だけでなく、濫用的捜査に対する事前防止策、事後的審査などを含めて広汎に議論される必要があるように思います。
モトケン (2006年5月24日 17:16) | コメント(4) | トラックバック(3) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:落合弁護士が語っています(共謀罪) – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

そういう検事は落合弁護士のブログを読んで「人間力」というのはどういうこと なのかということを自分で考えていただきたい<元検弁護士のつぶやき>

 初めて読んだ記事のように思いました。コメント禁止にされる前のエントリのはずですが、自分のコメントもないようです。


検察側が自白調書撤回

 これまで何度か紹介していますが、有力な弁護士ブロガーの一人の落合弁護士は私と同じヤメ検ですので、特に刑事事件については感覚に似たようなところがあります。
 今回取り上げるのは、「夫バラバラ殺人、検察側が自白調書撤回 東京地裁 歌織被告は任意性否定 」です。

 落合弁護士は中日新聞の記事を以下のように引用されています。

検察側は「犯罪事実は被告人質問で十分立証できた」として、証拠請求していた捜査段階の被告の自白調書などを撤回した。検察側が被告の供述調書の請求を取り下げるのは極めて異例。裁判員制度を意識し、裁判の迅速化を図る目的とみられ、今後、同様のケースが続くとみられる。 一方、歌織被告は被告人質問で「警察官や検察官の取り調べで、怒鳴られたり脅されたりして、不本意な調書を作られた」と述べ、供述が任意ではなかったと主張。取り調べの際に検察官から「風俗で働いていた。犬畜生と同じだ。おまえの事件なんて、どうせ男とカネなんだろ」などとののしられたと述べた。検察官の作成した調書の内容を否定し続けると、以前中絶した時の胎児のエコー写真を机の上に並べられて「法廷でこの写真を出していいのかと脅された」と訴えた。

 検事の取調べ状況に関する被告人の供述に関するさらに詳細な報道として産経ニュースがあります。

 歌織被告「検事は『風俗なんかで働いていた汚い奴め、お前は犬畜生と一緒で生きている価値がない。お前の刑を決めるのはおれだ。おれの前で頭を下げてみろ』と、そういうことを言われ続けた。それに対し、私が『違う』とずっと言い続けていると、終いには私が以前に堕ろした子供のエコー写真を並べて、『法廷でこの写真を出されてもいいのか。法廷でマスコミの前に出してやるからな』と言われた」

 産経ニュースを流し読みした限りにおいて、検察官はこの被告人の供述に対して何の反対質問もしないで被告人質問を終わらせています。

 そうなりますと

 自白調書の任意性を争われ、その理由を具体的に述べられた後に、検察官が請求を撤回すれば、やはり任意性に問題がある自白調書だったから、という印象を裁判所に与える可能性が高いように思います。(落合ブログ)

 となるのは自然な流れだろうと思います。
 私も、被告人が言うような取調べを検事がした可能性が高いな、と思います。
 落合弁護士は「裁判所に」と書いていますが、裁判員裁判が始まれば当然「裁判所」の中には裁判員が含まれてきます。
 産経のような法廷のやりとりを詳細に報じるメディアによって、国民の多くにも同様の印象を与える可能性が生じてくるでしょう。
 そしてその中から別の事件の裁判の裁判員が選任されてくることになります。
 検察はその点をどう考えているのでしょうか。

 最近、公判担当の検事(公判部の検事)と話をしますと、裁判員裁判に向けての準備やトレーニングをかなりやっている感じがします。
 しかし、捜査部(刑事部など)の検事がどう考えているのかについて、今回の被告人質問ははなはだ疑問を抱かせます。

 はっきり言いまして、取り調べ検事が報道されたような言動を実際にしたのであれば、検事の取調べとして最低です。
 検事としての適格性がないと言ってもいいです。
 被疑者を侮辱し、恫喝することによって真実を語らせることができると思っているとしたら、極めて危険なことです。
 そのような検事は冤罪の山を築く可能性があります。

 取調室というのは密室です。今のところは。
 検事と立会事務官と被疑者しかいません。
 被疑者を連れてくる警察官もいるのが普通ですが、検事が指示すれば退席させることも可能なはずです。
 いずれにしても被告人から見て味方はいないという状況です。

 こういう部屋で取り調べをしていますと、「俺が一番偉いんだ。俺はこの部屋では何を言ってもかまわないんだ。俺が想定している事実を語らせればいいんだ。俺の書く調書に署名させればいいんだ。」と思ってしまう検事がいても不思議はありません。
 被告人の供述の中の検事はまさしくそういう検事です。

 もちろん、被告人を取り調べた検事が被告人が供述したような取調べをしたのかどうかについては断定することができる資料を持っていません。
 上司は担当検事本人に問いただしているかも知れませんが。

 しかし、問題は、裁判官、裁判員、報道を読んだ国民(裁判員予備軍)が被告人の話を信用するかどうかです。(※)

 さて、産経の記事を読んだ皆さんはどう思われたでしょうか。
 こういう調べが行われた可能性はあるな、と思った人がかなりいるのではないかと想像しています。

 つまり、取調べ検事としては、自分が取り調べた被疑者に、法廷でこんなこと(一般論的には任意性や信用性に疑問を生じさせるような内容)を口にさせるような取調べをしてはいけないのです。

 取調室は密室かも知れません。
 しかし、検事が取調室で発した言葉は、すべて被告人の口によって法廷で語られる可能性があるのです。
 ですから、こんな取調べは絶対にしてはいけないのです。
 ここまでひどくなくても、被告人に誇張されたり揚げ足をとられるような調べをしてはいけないのです。
 
 このように言うと、一部の若手検事から、「じゃあ、どうすればいいんだ。」という声が聞こえてきそうですが、そういう検事は落合弁護士のブログを読んで「人間力」というのはどういうことなのかということを自分で考えていただきたいと思います。
 私が任官した直後に、厳しい取調べをすることで有名な検事ほど任意性を争われない、という話を聞いたことがあります。
 これだけ書くと誤解が生じそうですが、要するに、検事に被疑者を納得させる力があるかどうかだと思います。

(※)
 まったく任意性に問題がない取調べをしたとしても、被告人が嘘八百をでっちあげて任意性を争う可能性はあります。
 今回の事件で検察官が被告人調書の請求を撤回したことを知った別事件の被告人の中には、ともかくひどい取調べを受けたと法廷で言えば自白調書をちゃらにできると考える者が出てきても不思議はありません。
 そうなると、取調べの可視化が一気に加速するのではないでしょうか。
 いずれにしても、まともな調べをすることが大前提ですが。
モトケン (2008年2月14日 17:22) | コメント(30) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:検察側が自白調書撤回 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

有力な弁護士ブロガーの一人の落合弁護士は私と同じヤメ検ですので<元検弁護士のつぶやき>

 初めて読んだ記事のように思いました。コメント禁止にされる前のエントリのはずですが、自分のコメントもないようです。


検察側が自白調書撤回

 これまで何度か紹介していますが、有力な弁護士ブロガーの一人の落合弁護士は私と同じヤメ検ですので、特に刑事事件については感覚に似たようなところがあります。
 今回取り上げるのは、「夫バラバラ殺人、検察側が自白調書撤回 東京地裁 歌織被告は任意性否定 」です。

 落合弁護士は中日新聞の記事を以下のように引用されています。

検察側は「犯罪事実は被告人質問で十分立証できた」として、証拠請求していた捜査段階の被告の自白調書などを撤回した。検察側が被告の供述調書の請求を取り下げるのは極めて異例。裁判員制度を意識し、裁判の迅速化を図る目的とみられ、今後、同様のケースが続くとみられる。 一方、歌織被告は被告人質問で「警察官や検察官の取り調べで、怒鳴られたり脅されたりして、不本意な調書を作られた」と述べ、供述が任意ではなかったと主張。取り調べの際に検察官から「風俗で働いていた。犬畜生と同じだ。おまえの事件なんて、どうせ男とカネなんだろ」などとののしられたと述べた。検察官の作成した調書の内容を否定し続けると、以前中絶した時の胎児のエコー写真を机の上に並べられて「法廷でこの写真を出していいのかと脅された」と訴えた。

 検事の取調べ状況に関する被告人の供述に関するさらに詳細な報道として産経ニュースがあります。

 歌織被告「検事は『風俗なんかで働いていた汚い奴め、お前は犬畜生と一緒で生きている価値がない。お前の刑を決めるのはおれだ。おれの前で頭を下げてみろ』と、そういうことを言われ続けた。それに対し、私が『違う』とずっと言い続けていると、終いには私が以前に堕ろした子供のエコー写真を並べて、『法廷でこの写真を出されてもいいのか。法廷でマスコミの前に出してやるからな』と言われた」

 産経ニュースを流し読みした限りにおいて、検察官はこの被告人の供述に対して何の反対質問もしないで被告人質問を終わらせています。

 そうなりますと

 自白調書の任意性を争われ、その理由を具体的に述べられた後に、検察官が請求を撤回すれば、やはり任意性に問題がある自白調書だったから、という印象を裁判所に与える可能性が高いように思います。(落合ブログ)

 となるのは自然な流れだろうと思います。
 私も、被告人が言うような取調べを検事がした可能性が高いな、と思います。
 落合弁護士は「裁判所に」と書いていますが、裁判員裁判が始まれば当然「裁判所」の中には裁判員が含まれてきます。
 産経のような法廷のやりとりを詳細に報じるメディアによって、国民の多くにも同様の印象を与える可能性が生じてくるでしょう。
 そしてその中から別の事件の裁判の裁判員が選任されてくることになります。
 検察はその点をどう考えているのでしょうか。

 最近、公判担当の検事(公判部の検事)と話をしますと、裁判員裁判に向けての準備やトレーニングをかなりやっている感じがします。
 しかし、捜査部(刑事部など)の検事がどう考えているのかについて、今回の被告人質問ははなはだ疑問を抱かせます。

 はっきり言いまして、取り調べ検事が報道されたような言動を実際にしたのであれば、検事の取調べとして最低です。
 検事としての適格性がないと言ってもいいです。
 被疑者を侮辱し、恫喝することによって真実を語らせることができると思っているとしたら、極めて危険なことです。
 そのような検事は冤罪の山を築く可能性があります。

 取調室というのは密室です。今のところは。
 検事と立会事務官と被疑者しかいません。
 被疑者を連れてくる警察官もいるのが普通ですが、検事が指示すれば退席させることも可能なはずです。
 いずれにしても被告人から見て味方はいないという状況です。

 こういう部屋で取り調べをしていますと、「俺が一番偉いんだ。俺はこの部屋では何を言ってもかまわないんだ。俺が想定している事実を語らせればいいんだ。俺の書く調書に署名させればいいんだ。」と思ってしまう検事がいても不思議はありません。
 被告人の供述の中の検事はまさしくそういう検事です。

 もちろん、被告人を取り調べた検事が被告人が供述したような取調べをしたのかどうかについては断定することができる資料を持っていません。
 上司は担当検事本人に問いただしているかも知れませんが。

 しかし、問題は、裁判官、裁判員、報道を読んだ国民(裁判員予備軍)が被告人の話を信用するかどうかです。(※)

 さて、産経の記事を読んだ皆さんはどう思われたでしょうか。
 こういう調べが行われた可能性はあるな、と思った人がかなりいるのではないかと想像しています。

 つまり、取調べ検事としては、自分が取り調べた被疑者に、法廷でこんなこと(一般論的には任意性や信用性に疑問を生じさせるような内容)を口にさせるような取調べをしてはいけないのです。

 取調室は密室かも知れません。
 しかし、検事が取調室で発した言葉は、すべて被告人の口によって法廷で語られる可能性があるのです。
 ですから、こんな取調べは絶対にしてはいけないのです。
 ここまでひどくなくても、被告人に誇張されたり揚げ足をとられるような調べをしてはいけないのです。
 
 このように言うと、一部の若手検事から、「じゃあ、どうすればいいんだ。」という声が聞こえてきそうですが、そういう検事は落合弁護士のブログを読んで「人間力」というのはどういうことなのかということを自分で考えていただきたいと思います。
 私が任官した直後に、厳しい取調べをすることで有名な検事ほど任意性を争われない、という話を聞いたことがあります。
 これだけ書くと誤解が生じそうですが、要するに、検事に被疑者を納得させる力があるかどうかだと思います。

(※)
 まったく任意性に問題がない取調べをしたとしても、被告人が嘘八百をでっちあげて任意性を争う可能性はあります。
 今回の事件で検察官が被告人調書の請求を撤回したことを知った別事件の被告人の中には、ともかくひどい取調べを受けたと法廷で言えば自白調書をちゃらにできると考える者が出てきても不思議はありません。
 そうなると、取調べの可視化が一気に加速するのではないでしょうか。
 いずれにしても、まともな調べをすることが大前提ですが。
モトケン (2008年2月14日 17:22) | コメント(30) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:検察側が自白調書撤回 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013