殺人罪の実行行為、結果、因果関係といった個々の構成要件の緻密な判断以前に、「甲が危ない行為をして、結果としてAが死んでいるから殺人罪の問題だな」という判断をしていることになるはずです。

粗い当てはめについて、実例を示してもう少しわかりやすく教えていただけませんか。てらやさんがあげていた殺人を例にとるとするなら、粗いあてはめとは何をすることをいうのでしょうか。
殺人だったら、「甲はAを殺そうと決意し、刃渡り30cmの出刃包丁でAの腹部を思い切り刺した。Aは出血多量で死亡した」という記述があったとしたら、誰でも殺人罪の問題だなと思いますよね。
これ、殺人罪だと適用法条を迷うような事案が想定しにくくほとんど直観的にわかってしまうので、良い例になりにくいとは思うんですが。
ただ、理屈としては殺人罪でも何罪でも刑法以外でも一緒です。
殺人罪の実行行為、結果、因果関係といった個々の構成要件の緻密な判断以前に、「甲が危ない行為をして、結果としてAが死んでいるから殺人罪の問題だな」という判断をしていることになるはずです。
殺人罪に当てはまりそうという大雑把な判断が先にない限り殺人罪の構成要件該当性、違法性、責任の検討に移りようがないわけなので、そういうことになります。
ですから、事例問題については、常に事実→規範(ただし解釈前の条文)という一種の当てはめが一番最初に来ることになります。これを「粗い当てはめ」と呼びました。
図式的に言うと、①事実→②規範(解釈前の条文)→③規範(解釈後の条文)→④事実という順になります。
①→②のプロセスが、俺の言った「粗い当てはめ」です。(俺は「上り方向の当てはめ」とも呼んでいます。)
③→④のプロセスが、いわゆる「当てはめ」です。(俺は「下り方向の当てはめ」とも呼んでいます)。
ちなみに、もうおわかりかと思いますが②を③にする作業が「規範定立」です。
法的三段論法上の位置づけで言うと、小前提→大前提→大前提→小前提→結論、という順序になりますね。
26日前

引用:粗い当てはめについて、実例を示してもう少しわかりやすく教えていただけませんか。てらやさんがあげていた殺人を例にとるとするなら、粗いあてはめとは何をすることをいうのでしょうか。 | ask.fm/lawkus