ジャーナリストの取材活動を制約するのではないかと以前から心配していたが、それが現実になった。検察による弁護士への懲戒請求は権力の乱用ではないか。このようなことをされると、弁護士の協力を得て冤罪(えんざい)事件を検証するような報道がしにくくなる。/岩崎貞明編集長(元テレビ朝日記者

◇NHKは全国放送すべきだ−−メディア研究誌「放送レポート」の岩崎貞明編集長(元テレビ朝日記者)

 証拠の目的外使用禁止規定がジャーナリストの取材活動を制約するのではないかと以前から心配していたが、それが現実になった。検察による弁護士への懲戒請求は権力の乱用ではないか。このようなことをされると、弁護士の協力を得て冤罪(えんざい)事件を検証するような報道がしにくくなる。

 裁判には公開の原則がある。法廷で公開された証拠は、基本的にはパブリック(公共)のものであり、目的外使用を禁じる制度自体に問題があると思う。

 NHKは取り調べの映像を使った「クローズアップ現代」を早く放送すべきだ。公共放送としての役割を果たしてほしい。一度放送したのに、目的外使用を指摘されたからといって放送をやめれば、今後同種のことが起きた時に自らを縛ることになる。他メディアを萎縮させることにもなる。報道や表現の自由を考える上で重要な問題であり、悪い先例を作ってはいけない。

引用:取り調べDVD:映像提供問題 識者の話- 毎日jp(毎日新聞)