「こんなんじゃ、あかんぞ。全員が処分されるぞ」。関係者によると、巡査長の独断で男性を保護室に入れたとする調書ができたと知った警部補はこう言い/ジャーナリスト江川紹子

警察改革が進められるなか、新たな不祥事が明らかになった。大阪府警で起きた虚偽調書の作成問題。関与したとされる複数の警察官は体裁を取り繕うために「うその上塗り」を重ね、裁判での偽証という深刻な事態を招いていた。警察組織の根深い隠蔽(いんぺい)体質が改めて問われている。

 昨年12月2日夜。府警堺署の留置場で、覚醒剤取締法違反容疑で逮捕・勾留中の男性(40)が騒ぎ出した。「ほかの留置者と別々にする必要がある」。当直勤務中の巡査長(33)はこう判断し、男性を留置保護室に入れようとした。

 男性が騒ぎ続けたため、同僚の巡査(25)と上司の警部補が駆けつけ、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕。別の当直署員が逮捕までの経緯をまとめた調書を作ることになり、巡査長と巡査が「巡査長の独断で男性を保護室に入れた」と説明。それが調書に記された。

 「こんなんじゃ、あかんぞ。全員が処分されるぞ」。関係者によると、巡査長の独断で男性を保護室に入れたとする調書ができたと知った警部補はこう言い、現場にいなかった巡査部長が指揮したことにするよう提案。いったん調書を作った署員は疑問を投げかけたが、警部補が「ええんや」と押し切った。

引用:朝日新聞デジタル:警察、巣くう隠蔽 虚偽調書への疑問にも「ええんや」 – 社会