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警視庁と東京地検は今回・・・判断。さらに、「錯誤」という刑法上の理論を組み合わせることで、構成要件を満たしたという。・・・捜査当局を動かした遺族の思い

危険運転致死傷罪は、平成11年に東名高速で飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突し、女児2人が死亡するなどした事故をきっかけに13年に新設され、死亡させた場合には最長20年の懲役が科せられる重罪。ただ、罪の構成要件が厳しく、適用が断念されることも少なくなかった。

 警視庁と東京地検は今回、佐藤容疑者の暴走運転が、同罪を規定した刑法208条の2のうち第2項の「妨害目的の運転」に当たると判断。さらに、「錯誤」という刑法上の理論を組み合わせることで、構成要件を満たしたという。

 妨害目的の運転は《人または車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、通行中の人または車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、人を死傷させた》場合を規定している。

 佐藤容疑者が腹いせに軽乗用車の前に割り込んだ疑いが強く、妨害目的は問題ないとみられるが、妨害の対象となった軽乗用車は渋谷さんの車とは異なる。

 ただ、捜査関係者は「刑法には、Aさんを殺害しようとしてBさんを誤って殺害した場合にも殺意が認められる『錯誤』という理論がある」と指摘する。この理論を当てはめ、「軽乗用車を妨害する目的で、渋谷さんの車に当たって死亡させてしまった」という形で起訴にこぎ着けた。

 「あまりにも短絡的な犯行。遺族としては殺人以上に悲しいことかもしれず、危険運転致死罪で立件する意義がある」。捜査関係者はこう強調した。

引用:【衝撃事件の核心】「カチンときた…」暴走トレーラーで男性死亡 危険運転致死罪で起訴 捜査当局を動かした遺族の思い+(3/3ページ) – MSN産経ニュース

全国犯罪被害者の会の皆さんが期待するような法廷になるとは限らないと<元検 弁護士のつぶやき>



犯罪被害者訴訟参加制度法案衆院通過

犯罪被害者の訴訟参加制度創設の法案、衆院本会議で可決(asahi.com 2007年06月01日20時28分)
 
 日弁連が反対している法案ですが、成立しちゃいそうです。

 ググッてみたところ、法案成立を強く主張していた岡村勲氏がドイツの犯罪被害者の訴訟参加において、ドイツの法曹の意見を紹介しています。

 双方に弁護士が付くから、感情的になったり、混乱することはない。混乱させたら裁判官の資質が批判される。裁判官は公平だから、過重な判決になることはない。被害者に訴訟活動させることは、真実発見にも、公平のためにも必要だ。

 ドイツの法曹の本音の意見はどうなのかな、という気がしないではないですが、公式見解のようです。

 「双方に弁護士が付くから、感情的になったり、混乱することはない。」とのことですが、訴訟制度の伝統も国民性も違う日本において、そううまくいくかな、という不安感は払拭しきれません。

 「混乱させたら裁判官の資質が批判される。」とのことですが、これは日本でも妥当しそうです。
 訴訟指揮を行う裁判長が相当苦労する事件が多いのではないかな、と無責任な心配を禁じえません。

 ともかく、法案が成立したら法曹界としてはやって見るしかないのですが、以前にも述べたとおり、全国犯罪被害者の会の皆さんが期待するような法廷になるとは限らないと思います。
モトケン (2007年6月 2日 11:16) | コメント(12) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:犯罪被害者訴訟参加制度法案衆院通過 – 元検弁護士のつぶやき

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危険運転致死罪の法定刑に死刑を定めてもいいと思います<元検弁護士のつぶや き>



私が遺族なら・・・

酒酔い運転で2人死亡、近くで死亡ひき逃げ事故も 兵庫(asahi.com 2007年06月24日21時17分 ウェブ魚拓)

 どうしてこの酔っ払いが生き延びて、何の落ち度もない対向車の二人が死ななければならないのか。
 逮捕できたくらいですから、大した怪我はしていないのでしょう。
 もう一人殺している(敢えて「殺している」と書く)可能性が高いです(続報を待ちますが)。

 ひき逃げ事故もこの男の仕業としますと

 尼崎北署の調べでは、宮田容疑者の呼気1リットル中から0.75ミリグラムのアルコール分が検出された。23日夕方に尼崎市内のコンビニ2軒の駐車場で500ミリリットル入りの缶ビール計5~7本、200ミリリットル入りの焼酎計3~4本を飲み、自宅に帰ろうと70~80キロで走っていたと供述している。

 また、事故が起きる約1分前に、北に約800メートル離れた尼崎市南塚口町7丁目の同じ県道で、歩道を歩いていた同市塚口町2丁目の井上和俊さん(29)がワゴン車にはねられ、間もなく死亡した。

 当然、危険運転致死罪が適用されるべきです。

 「厳罰化以外の実効性ある措置も講じる必要があるように思います。」という意見もあるようですが、危険運転致死罪の法定刑に死刑を定めてもいいと思います。
モトケン (2007年6月25日 02:18) | コメント(25) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:私が遺族なら・・・ – 元検弁護士のつぶやき

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弁護活動に対する批判・検討は、被害者側に偏った不十分な情報に基づく感情的 な批判であってはならない<元検弁護士のつぶやき>



刑事弁護士をもっと

冤罪防止 “刑事弁護士”をもっと(中日新聞社説 ウェブ魚拓 ボツネタ経由)

 裁判員裁判の実施、被疑者国選弁護の拡大を前に、「刑事に強い」弁護士の大量育成が急がれる。冤罪(えんざい)防止のためには、使命感はもとより、豊かな知識と弁護技術を兼ね備えた弁護士が必要だ。

 私が、橋下弁護士による懲戒扇動問題を強く批判している大きな理由はここにあります。
 豊かな知識と弁護技術を兼ね備えた弁護士は一朝一夕には養成できません。
 刑事弁護に熱意をもって取り組む若手弁護士の絶対数が必要です。

 弁護活動に対する被疑者、被告人の不満はしばしば聞く。日弁連は重く受け止め、弁護活動を客観的にチェックしなければならない。

 個々の事件の弁護活動の当否を判断するのはとても難しいのですが、富山県の強姦冤罪事件などを見ますと、問題のある弁護活動の検証作業は必要であろうと思われます。

 しかし、弁護活動に対する批判・検討は、被害者側に偏った不十分な情報に基づく感情的な批判であってはならないと考えます。
 その意味で、マスコミの報道に触発された市民感情を正当化の根拠とするような懲戒扇動が頻発するような事態が生じるとすれば、弁護活動に対する正当な批判・評価を妨げることになるばかりでなく、刑事弁護に対する無理解と誤解を助長し、これから刑事弁護に取り組んでみようとする若手弁護士の意欲を大きく減殺する結果になることを強く危惧するのです。

 冤罪を1件でも減らすためには、世間の批判を一身に浴びるかのような被告人にこそ、刑事弁護が最も有効に機能すべきであると思います。

 但し、私は弁護人のマスコミ対応が不十分であることをもって懲戒理由と考えることには強く反対しますが、裁判員制度を視野に入れた弁護技術としてマスコミ対策の重要性が増加していることは事実であると感じています。
 その点については別に述べてみたいと思います。
モトケン (2007年10月31日 01:11) | コメント(53) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:刑事弁護士をもっと – 元検弁護士のつぶやき

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被害者遺族としても、より多く知ることによってより深く傷つくことがあること を考えて<元検弁護士のつぶやき>



少年審判の被害者傍聴問題

少年審判の傍聴に賛否 被害者団体、都内で会合(asahi.com 2007年11月25日22時49分)

 「全国犯罪被害者の会(あすの会)」の大会では、97年の神戸連続児童殺傷事件で次男を亡くした土師守さんが、少年審判では「蚊帳の外」に置かれたと主張した。

 「被害者として事件の背景を知りたいと思うのは至極当然のこと」。加害少年の更生のためにも、傍聴だけではなく、被害者が質問する権利も認めてほしいと訴えた。

 気持ちは分かるのですが、被害者遺族としても、より多く知ることによってより深く傷つくことがあることを考えて制度を検討すべきだと思います。
 つまり、被害者遺族にもそれなりの覚悟が求められます。
 被害者遺族の傍聴がどういう意味で加害少年の更生のためになるのかも問題です。

 制度設計を考えるにあたっては、制度に関与する人間がどのように考えてどのように行動するのかを的確に予測することが重要だと考えていますが、裁判手続に関する被害者側関与の問題については、

 事件の多様性に伴い、被害者遺族の感じ方や対応が極めて多様であること

から、その中の一定の対応を想定して制度設計を行うと、当然想定されうる想定外の被害者にとっては好ましくない制度になるおそれがあります。

 被害者遺族は法廷の中ではこのように考え、行動すべきである

という基準でもあれば、その基準に基づいて制度設計をすることが可能であるかも知れませんが、「法廷内におけるあるべき被害者遺族像」というものが議論されたということを知りません。
 もちろん、ことは法廷内の問題にとどまりません。
 
 単に、一部の大きな声に応えるような形での拙速な制度変更は将来に禍根を残すことを危惧します。

 一方、「被害者と司法を考える会」の集会では制度への懸念を論じた。交通犯罪で息子を亡くした片山徒有さんは、傍聴の実現を「ある種の制裁を裁判所に期待する流れの中にある」と指摘。家裁調査官を務めてきた伊藤由紀夫さん(全司法労組)は「狭い審判廷で被害者と加害者が相対すれば互いに興奮してしまう。傍聴するよりも裁判官が裁量で遺族に丁寧に説明する方が真実もわかる」と話した。

 こういう指摘にも耳を傾けるべきでしょう。

 現実社会に理想的な制度というものはあり得ません。
 何かを改善しようとすると、別の何かが悪化するのが当たり前です。

 目的は正当でも具体的な制度改変に伴う弊害というものが常に想定されるのですから、それをしっかりと検討したうえで、トータルとしてより良い制度になるように制度設計をしていただきたいと切に願います。
モトケン (2007年11月26日 10:00) | コメント(21) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:少年審判の被害者傍聴問題 – 元検弁護士のつぶやき

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殺人事件や死刑の執行をニュースのネタ程度にしか考えていなかったのでは<元検弁護士のつぶやき>


犯罪被害者・遺族も抗議

朝日「死に神」報道、あすの会が抗議(産経ニュース)

 「全国犯罪被害者の会」(あすの会)は25日、「犯罪被害者や遺族をも侮辱する内容」だとして、朝日新聞社に「抗議および質問」と題する文書を送付した。

 文書は「確定死刑囚の1日も早い死刑執行を待ち望んできた犯罪被害者遺族は、法相と同様に死に神ということになり、死刑を望むことすら悪いことだというメッセージを国民に与えかねない」などとしている。また、死刑執行の数がどうして問題になるのか-など4項目の質問に、1週間以内に回答するよう求めた。

 私の感覚によれば、こういう反応がでてきて当然だと思います。
 素粒子の筆者(及び編集者)に想像力が欠落しているのだと思います。政治家としての鳩山法相しか見えていなかったのでしょう。
 制度論については一通りの知識があるのかも知れませんが、1件の死刑の執行をめぐる多くの関係者の思いとその思いの重さ、深刻さというものを全く考えてなかったのでしょうか。

 要するに、命の重さを考えていなかったと言わざるを得ません。
 殺人事件や死刑の執行をニュースのネタ程度にしか考えていなかったのではないかとさえ思えます。

 朝日新聞社広報部は「いただいた『抗議および質問』を真摯(しんし)に受け止め、速やかにお答えする」とコメントを出した。

 コメントを待つことにします。
モトケン (2008年6月25日 21:56) | コメント(357) | トラックバック(1) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:犯罪被害者・遺族も抗議 – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき-2013

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