遺族が反対している場合は出すべきではないと非難する人もいるが、「元少年A」を表現の自由の埒外に置くか否かという、最高裁裁判官のような重い役割を、遺族に担わせることには賛同できない。/ジャーナリスト江川紹子

江川 紹子 | 2時間前(2015/06/16 22:29) ジャーナリストオーサー 報告

 関心がある者は読めばよいし、読みたくない者は読まなければいい。
 遺族が反対している場合は出すべきではないと非難する人もいるが、「元少年A」を表現の自由の埒外に置くか否かという、最高裁裁判官のような重い役割を、遺族に担わせることには賛同できない。
 そもそも、彼を非難するメディアが騒ぐことで、本の注目度を高め、売り上げを増やすことに貢献しているのではないか?
 私は、あれだけの事件を起こした者が、様々な人との関わりの中で、罪の自覚を深めていく記録として読んだ。そこから考えさせられることは少なくなかった。
 名古屋で女性を惨殺した女子大生など、「A」を「尊敬」する者による事件が今でも起きている。一部の人たちに「神」扱いされてい「A」も、この本を読む限り、罪の大きさにおののく「ただの人間」。同書が、彼への歪んだ「尊敬」や「憧れ」が色あせるきっかけになれば、と思う。

引用:連続殺傷事件の手記「絶歌」が週間売り上げ1位に 販売自粛の書店も (産経新聞) – Yahoo!ニュース